宣伝会議賞1分アドバイス(34)山田尚武さん「課題を恋愛相談だと想定すると、不思議と言葉が出てくる」

9月1日からスタートした第50回宣伝会議賞。10月31日の締切が徐々に迫ってきています。

アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。

宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。

山田尚武

本日は、電通の山田尚武さんへのインタビューを紹介します。山田さんは、学生時代、就職活動中に応募した作品で、見事、第26回(1988年)宣伝会議賞グランプリを受賞されました。現在は、企業広告を多く手掛ける山田さん。最近の仕事としては、キッコーマン 企業広告「しょうゆがへるたび、ふえるもの。」などが挙げられます。
キッコーマンの広告はこちらでも見られます。

——コピーが浮かぶのは、どんなシーンでしょうか?

山田さん すべての課題を恋愛相談だと仮定すると、不思議と言葉が楽に出てきます。
「こう言っちゃえばいいのに、なぜ言わないの?」と。オリエンの場で一言、思い浮かべるようにしています。

——コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?

山田さん 得意先の声、消費者の声、自分の声です。

——山田さんは、学生時代に、宣伝会議賞でグランプリを受賞した経験をお持ちですね。当時のエピソードを聞かせてください。

山田さん 就職活動中に応募した作品で、第26回宣伝会議賞の金賞をいただきました。内定していた会社では当初一般枠での採用だったのですが、受賞のおかげでクリエイティブ枠へ異動できました。感謝。

——最後に、コピーライターとして、山田さんが今コピーについて思うことを聞かせてください。

山田さん デジカメの普及で、誰もが写真を撮ることができる時代になり、プロとアマの境界が曖昧になりました。すると、曖昧な技術で勝負していたプロは淘汰され、デジカメの機能では太刀打ちできない一級カメラマンの圧倒的な力が浮き彫りに。誰もがつぶやける時代、素人の言葉とプロの言葉との境界も曖昧になっています。本当によいコピーの出色の時ではないでしょうか。

—— 確かに、今は誰もが気軽に、多くの人に向けて言葉を発信することができる時代です。見方を変えれば、世の中に言葉が“乱立”する時代でもある。だからこそ、他にない切り口で物事を切り取る視点や、言葉に微妙なニュアンスを込める技術など、一朝一夕には身につかないプロの“コピー力”で生み出されたコピーが、光る時代とも言えるかもしれませんね。

次回は、スプリングの李 和淑さんへのインタビューを紹介します。
李さんも、宣伝会議賞への応募経験をお持ちです。当時のエピソードも伺いました。お楽しみに。

山田尚武(電通)
1966年生まれ。マッキャンエリクソンを経て電通。主な仕事に明治製菓 企業広告、キッコーマン 企業広告、IHI 企業広告、リコー 企業広告などがある。1989年に第26回宣伝会議賞金賞受賞。

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『宣伝会議賞』
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。
第50回 宣伝会議賞
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