アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。
宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。
本日は、スプリングの李 和淑さんへのインタビューを紹介します。宣伝会議賞への応募経験もお持ちの李さん。「コピーライターになりたい!」という夢に向かって取り組んでいた当時のエピソードも伺いました。最近の仕事としては、俳優・渡辺 謙さんを起用したスズキ 新型ワゴンRのテレビCMが挙げられます。
新型ワゴンRのCM動画は、こちらでも見られます。
——コピーが浮かぶのは、どんなシーンでしょうか?
李さん ほとんど、仕事場の机の上でコピーを考えています。たまにトイレでぼーっとしているときや、道をとぼとぼ歩いているときに、「あ!」と思いついたりもします。力が抜けているときに、いいのが出るみたいです。
——李さんのように、適度にリラックスした状態のときにアイデアが浮かぶ方もいらっしゃれば、「書くぞ!」と気合を入れてアイデアをひねり出すという方もいらっしゃるようですね。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
李さん HI-TEC-05の黒ペン、A4の白い紙、国語辞典です。
——李さんは宣伝会議賞への応募経験もお持ちですね。当時のエピソードを聞かせてください。
李さん 宣伝会議賞には、一度だけ、応募しました。なぜ一度かと言うと、そのとき
100本近いコピーを送ったのに、ひとつも一次審査に残らず、かなり絶望したからです(笑)。コピーライターになりたいという夢とか自信を失うのが怖くて、二度と応募しませんでした。弱虫でしたね。
——それでも、「コピーライターになりたい」という思いが実って、今では広告界の最前線で活躍されています。改めて、思いを持ち続けるということの大切さを感じます…!最後に、今年で50周年を迎えた宣伝会議賞に、何かメッセージをいただけますか。
李さん 宣伝会議賞が50周年ということは、コピーに想いを寄せる人が、50年間ずっといる、ということ。心強くなるし、うれしく思います。
——50年のその先も、コピーライターを目指す皆さんとともに、コピーを、そして広告界全体を盛り上げていくコンテストであり続けられればと思います。
次回は、電通関西支社の古川雅之さんへのインタビューを紹介します。宣伝会議賞への応募時代から、古川さんがコピーを考える際に大切にしている意識も伺いました。お楽しみに。
李 和淑(スプリング/コピーライター、クリエイティブディレクター)
1967年生まれ。主な仕事に、スズキ〈パレット〉「うちにいるより、家族だね。」、スズキ〈ワゴンR〉発電シリーズ、ファシオ「松本潤のまつげやさん」。サン・アドを経て、2008年より独立。TCC新人賞、日経広告賞金賞、読売広告賞銀賞など受賞。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 山田尚武さん「課題を恋愛相談だと想定すると、不思議と言葉が出てくる」
- 西脇淳さん「結局は、コピーが好きな人が残る」
- 野原ひとしさん「宣伝会議賞は、コピーライターが孤立無援で戦う唯一の場」
- 占部邦枝さん「あえて、とっつきにくそうな課題を選んだ」
- 神田祐介さん「信じて書き続ければ、奇跡は起こる」
- 石田文子さん「書くだけではなく“コピーを見る目”も養うべき」
- サトー克也さん「書いた人が感動できないコピーに、他人は感動できない」
- 篠原 誠さん「プロもみんな、格闘してコピーを生み出している」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。