アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。
宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。
本日は、電通関西支社の古川雅之さんへのインタビューを紹介します。宣伝会議賞への応募経験もお持ちの古川さん。当時から大切にしている、コピーを書くときの意識についても伺いました。2010年度 ACC CMフェスティバルのテレビCM部門で、総務大臣賞/グランプリに選ばれた和食店運営の梅の花のシリーズCMを手がけたほか、最近の仕事としては、大日本除虫菊 コバエがポットンのテレビCMなどがあげられます。また、関西の「おかん」が登場する宣伝会議コピーライター養成講座のテレビCMも制作いただいています。
——コピーが浮かぶのは、どんなシーンでしょうか?
古川さん まずはその仕事のノートを一冊つくって、思いついたこと、考えの断片でも何でも片っ端から書きなぐっていきます。うんうん考えて、なかなかいいのが出なくて、いったん忘れてひと休み。休んだり、別のことをしているときに、何かと結びついて「あっ!」と思いつくこともあります。思いつかないときはこれを繰り返すのみです。…つらいのぅ。
——仕事ごとに専用ノートをつくるというのが参考になりますね。ふと思いついて書いておいたことが、後々、「これは!」という一本につながるかもしれません。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
古川さん ノート、0.9ミリのシャーペン、タバコです。
——古川さんは宣伝会議賞への応募経験もお持ちですね。当時、コピーを書くときに気を付けていたことなどはありますか?
古川さん 応募するほうとしては、「とにかく数打ちゃ当たる、何が通るか分からないからな」と思いがちですが、やはりそういう感じでは選ばれません。同じ内容・発想で、言い回しや語尾に迷ったら、当てものみたいにどちらも出しておくのではなく、どちらの言い方がほんとうにいいか吟味することで、コピーも磨かれるような気がしました。
——最後に、応募者の皆さんに、何かメッセージをいただけますか。
古川さん 傾向と対策で狙いすましたレトリックコピーよりも、10年後も「このコピーで賞をもらえてよかった」と思える、自分にしかできない発見、自分にしか書けないコピーを目指してほしいなぁと思います。
—— 一つの作品をマイナーチェンジしたものを100本出すより、他にない、斬新な切り口の1本を。応募締切まで残り8日間。コピーを書き終わった方も、頭をリセットして、もう一度同じ課題に取り組んでみると、これまでは思いつかなかった切り口に出会えるかもしれません…!
次回は、電通の蛭田瑞穂さんへのインタビューを紹介します。お楽しみに。
古川雅之(電通関西支社/CMプランナー、コピーライター)
1969年生まれ。キンチョウ、梅の花、ケンミンの焼ビーフン、福井新聞など。ACC賞(グランプリ、ゴールド、シルバー、ブロンズ)、佐治敬三賞など受賞多数。TCC、OCC会員。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 李 和淑さん「コピーに想いを寄せる人が、50年間ずっといる」
- 山田尚武さん「課題を恋愛相談だと想定すると、不思議と言葉が出てくる」
- 西脇淳さん「結局は、コピーが好きな人が残る」
- 野原ひとしさん「宣伝会議賞は、コピーライターが孤立無援で戦う唯一の場」
- 占部邦枝さん「あえて、とっつきにくそうな課題を選んだ」
- 神田祐介さん「信じて書き続ければ、奇跡は起こる」
- 石田文子さん「書くだけではなく“コピーを見る目”も養うべき」
- サトー克也さん「書いた人が感動できないコピーに、他人は感動できない」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。