そのプロジェクト、社会とブリッジしてる?
ジェネラリストの視点で、検証する
こんにちは。この4月に新設された大広「デジタルソリューション局」の「第1プロデュースセンター」に所属する梅田と申します。局の名前にはデジタルという言葉がついていますが、他の領域も積極的に取り入れ、業務全体をプロデュース(業務をつくり出し、統括、推進)していく部署です。
メディア、経済、人々の価値感が変化し続けている中、広告代理店に求められる、あるいは自ら拡張していくべき領域が多様化しており、その各領域のスペシャリストとそれを統括するジェネラリストの必要性が高まっています。それに伴い、社内の再編や社外との業務提携の話もよく聞かれます。そのような動きの中、新しい案件や事業を生み出し、推進していくプロデュース業に(エージェンシービジネスを拡張していく意味合いも込めて)以前から興味を持ち、実際にプロデューサーとして業務にあたっていたのですが、この度、社内部署の新設、そしてコラム執筆のお声掛けと、大変良い機会を与えていただきました。
以上のような背景の下、本日から12回に渡って、現場プロデューサーの働き方や、その業務を通して自分なりに考えるエージェンシーの今後の可能性について書いていきたいと思います。「プロデューサー」というと、「実は何をしているのかイメージが浮かばない」という方も少なくないですので、できるだけ具体的な事例を通して考えていきます。
第1回はまずプロデューサーの役割について、自分がプロデュース業をどう捉えているか(そして実際にどう動いているか)というスタンスを明確にしておきます。
エージェンシーのプロデューサーは、ある程度多様な業務経験をしていることが望ましいですが、必ずしも役職的、年齢的に上である必要はないと考えます。あくまでも「職種」の1つ。プロデューサー的スタンスで業務を進めるためには、先輩に仕事を依頼することも多々出てきますが、そのスペシャリティに敬意を持って向き合えば自分の立場も理解してもらえます(後輩に対しても同じことですが)。
クリエイティブディレクターとは、「潜る深さや長さ、領域」が異なります。
プランニングの際は、ディレクターと一緒に(むしろ先に)クリエイティブの可能性の海の奥深くまで潜りますが、プロデューサーの方が早く顔を上げます。そこから先の潜伏はディレクターに「ゆだねる」こととなります。その間、ストラテジーやメディアとの調整やクライアントと向き合うことに時間を割きます。
ディレクターはそのクリエイティブが、本当に機能するか、人々に刺さるかに神経を使い、プロデューサーはそのクリエイティブが刺さることでプロジェクトが社会とブリッジするかを常に検証しています。ただ結果として、その両者が同義になることもあり、その場合はクリエイティブディレクターがプロデューサー的な機能も果たしているはずです。
同様に、広告代理店が「プロデュース型エージェンシー」としての機能を果たせるかどうか、という点に、広告代理店の未来の形のヒントがいくつかあると考えます。それが本コラム全体の主題です。また、コラムに扱う素材としての現場業務は、実際の広告施策はもちろん、商品開発や自社の事業開発なども予定しています。本コラムが、プロデューサーの役割だけでなく、エージェンシーの未来について(究極的にはエージェンシー自体の価値をプロデュースできるか?)のディスカッションのきっかけになれば嬉しいです。
では次回は、「自分がプロデューサーを目指した原点」を通じて、「ゆだねる」ということについて触れてみたいと思います。今後とも何卒お付き合いくださいませ。