『ニセドイツ』シリーズや『世界軍歌全集』『超高層ビビル』など、奇想天外な珍書を多く手がける社会評論社のサブカル編集者、もとい“ブサカル変集者”の濱崎誉史朗さん。ベストセラーでなくとも、隙間をついたセンスの光る企画が読者の支持を得て、じわじわとファンを増やしている。企画立案からブックフェアに至るまで、すべてを一人で手がけるスーパー編集者のアイデア・企画力に迫る。(この記事は『編集会議2012年秋号』から一部抜粋・再構成したものです)
敷居の低いマニアックさ
――誰も思いつかない珍書・奇書の企画は、どうやって思いつくの? と編集者仲間からよく訊かれます。「一日一企画を立てる」ことを自分に課していて、2009年12月から記録しています。先日調べたら約1500本ほどありました。
基本は、本になっていないテーマを考えることです。狙うのは、マニアックだけど「なるほど、面白そうだね」と、世間一般の知的好奇心をくすぐる敷居の低さ。時事ネタ的な内容ではなく、資料性の高い企画で、長くずっと読んでほしい。考えた企画やテーマがすべて好きか、というとそうでもないんです。個人的に興味の強い分野はありますが、それを本にしたいと思ったことは、ほとんどありません。
企画を立てる手段のひとつとして、あらゆる新刊をチェックしています。情報を集めているのは、図書館流通センターや版元ドットコム、地方・小出版流通センターなど。気になった本を記録しておいて、タグ付けをしています。大学の紀要や論文集にもよく目を通しています。
人からインスピレーションを受けることは少ないですね。人と会う時間があるならその分、本を読みたい。月に60冊以上読んでいます。この数は、住まいのある区と勤務地のある区の図書館で、1カ月に借りられる本の合計が60冊なので。
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