小野勇樹(デイリーフレッシュ デザイナー/宣伝会議コピーライター養成講座専門コース2012年春・小西利行クラス、クリエイティブディレクション講座修了)
前回のコラムが思いの外まとまってしまったので、今回は講座でためになったことを書こうと思います。
そもそも講座を受けようと思った理由のひとつは、コピーを判断する基準が欲しいからでした。
広告のコピーって、普通の言葉とは何かが違う気がしていて、母国語のはずなのに外国語くらいわからなくなる瞬間がよくあったんです。
自分で書いてみるとわかります。ちゃんと書こうとすると本当に難しい。まず、何をもって「ちゃんと」なのかもわからない。なんとなくなら、いくらでも書けるんですけれど、良いのか悪いのかもわからない。なんとなくで書いているから説明もできない。
その言い方である必然性だとか、言う内容は本当にそれでいいのかとか、とにかくわからなくなっていきました。
その感覚は、自分の知らないもの、例えばB to Bの案件(企業向けの機械やシステム、セミナーの告知など)になればなるほど、増していきました。
会ったこともない知らない人たちへ伝わって響く言葉。もうこれは外国語というより魔法の言葉ですね。
とはいえデザイナーなので、それほど仕事に支障はなく、困ったらコピーライターの先輩を頼りその場をしのいでいました。だけどずっとそうしている訳にもいかないですよねプロなのに。若手といいながら歳だけはしっかりとっていくし。まわりは皆結婚していくし。いつの間にか子供がいるし。
そんなことを思いながら受講したある日、講師の小西利行さんがふと言いました。
「自分でコピーを書いたら、それがアイデアになっているかどうかみてください。」
(確かもっとカッコいい言い方してました)
コピーを判断するひとつの基準として「アイデアであるかどうか」。これはものすごく明確で、考えやすいものでした。
もちろん簡単に出てこないですが、でもこれまでとは違って、超えるハードルがちゃんとみえるので、僕にとっては前進です。
ホントはアイデア考えることって、この仕事をしていたら当たり前といえば当たり前のことなんですけど、実際の仕事では数ある制約をクリアすることでいっぱいいっぱいになりがちです。
本当に大切なことだから立ち返るポイントとしても、すごく良いんだと思います。
あとこれ、グラフィックの企画にも応用できるんです。作ったグラフィックの何がアイデアなのか明らかにしておく事で、人に説明もしやすいし、デザインが整理されるんです。
言葉の勉強をしにいったはずが、思っていた以上に身になることの多い講座でした。
まとまらず長々と書いてしまいましたが、今回も読んで頂きありがとうございました。
小野勇樹(おのゆうき)
デザイナー。1986年生まれ。2009年多摩美術大学卒業後、アデックスデザインセンターを経て、2012年Dairy Fresh入社。宣伝会議コピーライター養成講座・専門コース小西利行クラス、クリエイティブディレクション講座修了。
バックナンバー
コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
- 2012年7月 杉山元規「悩める29歳(1)」
- 2012年6月 栗栖周輔「学歴なし、職歴なしで広告業界に入るには」
- 2012年5月 永友鎬載「僕の失敗(1)」
- 2012年4月 大津健一「幸運の女神は最終講義で微笑んだ」
- 2012年3月 大重絵里「考え続けられる人が、輝いている」
- 2012年2月 山川力也「コピー」じゃなくて、「いいコピー」を書くために。
『コピーライター養成講座』
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。