震災からの復興が大きなテーマとなった2012年。何をいかに伝えるか、話題性ある広告クリエイティブや広報PRを組み合わせたコミュニケーション・デザインが問われ、いかに販売実績につなげていくか販売促進のアイデアの力が問われた。2013年は広告界にとってどんな年になるのか。「宣伝会議」「販促会議」「ブレーン」「広報会議」の編集長が展望する。
「広報会議」編集長 上条 慎
右肩上がりの成長が見込めず、画期的な商品を打ち出していくのが難しい環境の中で、ニュースを広くメディアに伝えるだけの広報部では時代に即しているとは言えない。生活者は商品を機能や知名度で選ぶだけでなく、その先にある企業についてもよく見ている。企業そのもののコミュニケーション力を上げていくことが求められており、そこに広報の出番があるいえるだろう。
メディアリレーションズは今も広報の重要な仕事ながら、一方では社員一人ひとりが発信できる時代であることを踏まえ、社員のソーシャルメディアのリテラシー向上や意思統一を図るためのインナーコミュニケーションを継続することの重要性が増すことは間違いない。トップ広報と同様に「社員を通じた広報」が重要な時代ともいえる。「隠し事」が難しい世の中にあっては、こうした地道な取り組みが意味を持つ。「低成長時代の広報」を実践すべき時期にある。
口コミマーケティングをめぐるガイドラインの改定がWOMマーケティング協議会から年末に発表された。2009年の「戦略PR」ブーム以降、ネット上の口コミを活用したマーケティング手法が注目されているが、いわゆる「ステマ」に加担する事業者の存在やネットならではのグレーゾーンがあるのも確か。こうしたトラブルの件数は年々増えているとも聞く。
企業もメディアも「信頼」というブランド資産で成り立っていると言っても言い過ぎではないだろう。こうしたトラブルに巻き込まれると、企業のブランドが一気に崩れる危険をはらんでいる。PRをめぐる倫理の問題にも企業が関心を持ち、自主的に取り組むべき時期がきている。
他誌編集長による【2013年予測】