市場調査会社の富士経済は、2012年9〜11月に実施した調査の結果をもとに清涼飲料7分野48品目のトレンドを分析、2013年の展望を発表した。
調査対象は、果実・野菜飲料(100%果汁、野菜系など)、炭酸飲料(コーラフレーバー、透明炭酸など)、乳性飲料(飲用牛乳、ドリンクヨーグルトなど)、嗜好飲料(缶コーヒー、無糖茶系など)、ミネラルウォーター類、機能性飲料(健康サポート、スポーツドリンクなど)、その他飲料(豆乳類、ゼリーなど)の7分野18カテゴリー。同社の専門調査員による対象企業への直接面接取材をベースに、電話ヒアリングと文献調査によって情報を補完した。
同社は、2012年の清涼飲料市場全体は前年比2.2%増の4兆9613億円となり、ミネラルウォーター類(前年比3.7%減の2929億円)を除き、各分野で伸長する見込みとした上で、2012年から2013年にかけての注目市場として「エナジードリンク」「トクホ飲料」「美容系飲料」「ドリンクヨーグルト」の4つをあげた。
「エナジードリンク」(※1)の市場規模は、2012年見込みで前年比約2.2倍の267億円、2013年予測で前年比約1.5倍の392億円。市場を牽引するのは、2006年に本格的に市場に投入された「レッドブル エナジードリンク」(レッドブル・ジャパン)。クラブなどナイト業態での展開により認知度が上昇するに伴って市場も拡大、2011年には100億円を突破した。この好調を受け、流通側もコンビニを中心に、エナジードリンクの棚を確保するようになった。加えて2012年は日本コカ・コーラから「burn(バーン)」、アサヒ飲料から「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」が投入され、商品ラインナップの充実により、市場として定番化しつつある。若年層を中心とした消費者に向けたファッショナブルなイメージ戦略も奏功し、2013年以降も拡大が見込まれるとしている。
※1 エナジードリンクは、エネルギー補給を訴求し、カフェインやアルギニン等の成分を含有した炭酸飲料で、かつ1本当たり小売価格が200円以上の商品を対象とする。
「トクホ飲料」(※2)の市場規模は、2012年見込みで前年比15.9%増の1768億円、2013年予測で前年比0.8%増の1782億円。「トクホ」の話題性によるトライアル需要がひと段落したこと、また東日本大震災後に、より必要性の高いミネラルウォーター類に生産が集中したこともあり、2011年の市場は前年比4.4%減の1525億円となっていたが、2012年にはキリンビバレッジが「キリン メッツコーラ」を投入、積極的な宣伝・広告活動や営業展開によって、量販店やコンビニの売場獲得に成功した。また、伊藤園も“トクホ炭酸飲料”「スタイリースパークリング」を発売。「ゼロ系」「オフ系」という訴求が薄れつつある中、「トクホ炭酸」という新たな概念が浸透しつつあり、これらが市場を牽引したことで、2012年の市場は大幅に拡大するとしている。
※2 トクホ飲料は、消費者庁の定める特定保健用食品の認可を受けている飲料商品を対象とする。
コラーゲンやコエンザイムQ10といった含有成分の美肌効果をうたった商品が市場の中心を担う「美容系飲料」(※3)は、2012年見込みで前年比約3%増の373億円、2013年予測で前年比約1%増の378億円。ターゲットである女性層の美容意識と節約志向の高まりに伴い、エステやサプリメントなどの代替として近年需要が高まっており、2013年以降も引き続き拡大が予測されるという。
※3 美容系飲料は、美容効果が期待できる成分を含む、商品名やコンセプトで美容効果を訴求している、あるいは美容を連想させるキーワードを使用している商品を対象とする。
「ドリンクヨーグルト」(※4)は、2012年見込みで前年比17.6%増の840億円、2013年予測で前年比7.7%増の905億円。2012年は、1月に明治の「明治ヨーグルト R−1」がテレビ露出によって爆発的な伸びを見せたほか、乳酸菌の価値が再認識されたことで、好調な販売が続いている。ドリンクタイプのヨーグルトは、健康性・機能性に加えて簡便性や飲みごたえが支持を集めており、今後も需要の拡大が期待されるとしている。
※4 ドリンクヨーグルトは、発酵乳規格の商品のうち、飲用タイプの商品を対象とする。