日本企業が発行するアニュアルレポートの中で、特に優れたものを表彰する「第15回 日経アニュアルリポートアウォード」(主催:日本経済新聞社 クロスメディア営業局)の受賞企業が発表された。
ソフトバンクのiPad版アニュアルレポート。
今回の参加企業は、76社。その中から、最優秀賞にカプコン、優秀賞に伊藤忠商事、阪急阪神ホールディングス、特別賞にアステラス製薬、ユナイテッドアローズ、ソフトバンクの3社が選ばれた。アステラス製薬は「統合版」(=CSR報告書、環境報告書などと合本や、連動している冊子が対象)、ユナイテッドアローズは「要約版」(=財務や事業の説明などを簡略化した冊子が対象)、ソフトバンクは「オンライン版」(=PDFなどではなく、Webの機能特性を活かした表現・構成で展開される独立したコーナー・ページが対象)での受賞。ほか、入賞7社、佳作8社がそれぞれ発表されている。
さらに、今回は15回目の開催を記念して「敢闘賞」「奨励賞」を新設した。前者は、過去に8回以上同賞に参加し、出来映えの成長が特に認められる企業を表彰するもので、後者は、過去に1〜3回同賞に参加し、特に優れた企業を表彰するもの。それぞれローソンとカルビーが選ばれた。
アニュアルレポートとは、企業が発行する財務・事業内容、経営戦略、コーポレートガバナンス、CSR活動などをまとめた年次報告書で、企業研究の材料として国内外の機関投資家、個人投資家など、多くのステークホルダーに活用されている。
日本経済新聞社では1998年から毎年、日本企業の発行するアニュアルレポートの質的向上と普及を目的に本コンテストを開催している。審査員には、ニッセイアセットマネジメントやJPモルガン・アセット・マネジメント、三菱UFJ投信といった現役の機関投資家が名を連ねる。
日本経済新聞社によると、ここ数年の傾向として、読み手の広がりや個人投資家を意識して、レポートの簡便さや理解しやすさを重視する企業や、地球環境やCSRの重視、ITの普及などを背景に、従来のレポートの構成・体裁にこだわらない企業が増えているという。こうした状況に対応するため、「特別賞審査」部門を新設し、「要約版」「統合版」「オンライン版」のレポートを「紙」のレポートとは別途審査した。
「要約版」「オンライン版」でのエントリーが増えており、その質・内容とも前回開催時から格段に向上が見られるという。「オンライン版」で受賞したソフトバンクは、「iPad版への対応が、テクノロジー進化に劣後しない接し方」(審査員講評より)として高く評価された。一方で、「要約版・オンライン版も既存の株主やユーザーに過不足なく説明をするという意識が強く、新しい株主を国内外から幅広く集めていく、という気概に乏しい企業もみられた」といった講評も見られ、「オンライン版」レポートの内容・見せ方には、今後、さらなる工夫が求められている。