企業の「ソーシャル格差」進行に危機感
2013年のWEBマーケティング関連予算は、7割の企業が「増加傾向」または「前年並み」――。雑誌『宣伝会議』編集部が2012年12月に実施した調査から、このような傾向が明らかになった。
調査は大手メーカー・サービス業などを対象に2012年12月に実施し、国内でWEBプロモーションや企業サイト、ECサイトなどを手掛ける72社の担当者から回答を得た(同時に調査を実施した72社の最新プロモーション事例や担当者プロフィールは『宣伝会議』1月15日号にて詳述)。
「2013年のWEBマーケティング予算の増減傾向」に関する設問に対し、1社(ビームス)が「大幅に増える」、24社(アスクル、NTTドコモ、日本生命保険、ローソンほか多数=図表参照)が「増える」と回答。「変わらない」とした企業も24社に上った。一方、「(予算が)減る」と回答した企業は2社に留まっており、多くの企業で2013年もWEBマーケティングに注力する傾向は続きそうだ。
次に、72社のWEBマーケターが注目しているテーマ・キーワードに関する設問では、最も多く回答を集めたのが「O2O(Online to Offline)」。約4割の企業(72社中29社)が注目している。「O2Oビジネスの加速により、勝ち組・負け組がはっきりしてくる」(サービス)という危機感を持つ担当者や、「“WEBでモノが売れるわけではない”ことに各社気づき始めている。長期的なブランディングだけを目的とするのでなく、より店頭と連動できるWEBマーケティングが求められるのでは」(メーカー)といった声が聞かれた。
続いたのが「オウンドメディア」(72社中19社)で、オウンドメディア自体の強化やSNSやオウンドメディアの融合を課題とした企業が目立った。このほか「DSP」「動画」(いずれも72社中8社)、「スマートフォン広告」「ビッグデータ」(いずれも72社中7社)と続いており、アドテクノロジー関連にも注目が集まりつつある。
なお、2012年に同じく注目のテーマ・キーワードに関する調査を行った際は、「スマートフォン」「フェイスブック」「ロケーションサービス」「O2O」が上位となっており、この1年で多くの企業でソーシャルメディアの活用はスタンダードとなり、店頭や自社メディアとの融合を模索している様子がうかがえる。
同時に今回の調査で目立ったのは、ソーシャルメディアへの取り組みに対する意識の格差が表れてくるであろうという予測である。「各企業が取り組んでいるソーシャルメディアの成否が二極化して現われてくると思う。ペイドメディア、オウンドメディア、アーンドメディアの役割が改めて見直され、それぞれにおける効果、効率、スピードが一層求められるのでは」(メーカー)、「さらに分析できるデータの範囲が増える一方で、大量のデータをサイエンスではなくマーケティングの観点で処理出来る人材を抱える企業が勝ち残る」(サービス)など、担当者の多くは危機感を持っている状況と言えそうだ。
<後編>では72社の担当者に対し実施した、アドテクノロジーの理解度や導入状況に関する調査結果のレポートをお届けします。
※担当者の声は、回答企業による匿名のコメントから抜粋。1月15日号『宣伝会議』でも、多数紹介しています。