ネット選挙運動の解禁を目指すOne Voice Campaign(以下、ワン・ヴォイス)は、今夏に行われる参議院選挙に向けて、ネット選挙運動の解禁を踏まえた公職選挙法の改正に向けて大きく動き出した。ワン・ヴォイスは、学生団体ivoteを創設した原田謙介氏らが立ち上げたネット選挙運動の解禁を求める団体で、2012年5月から国会議員と一般市民を集めたイベントなどを開催し、働きかけを続けている。
昨年末の第46回衆議院議員総選挙(12月16日)の投票率は、59.32%と、戦後最低の記録を更新した。一方、3日後の19日に行われた第18代大統領を選ぶ韓国大統領選挙の投票率は75.8%と、国民の政治への関心の高さをものがたる。
日本と韓国の投票率の違いには、ネット選挙運動をめぐる公職選挙法が影響していると言われている。20代~30代といった若い世代ほど投票率が低く、その投票率を上げるにはインターネットやSNSを通じた働きかけが効果的。いちはやくネット選挙運動を解禁した韓国では、昨年末の大統領選でも、選挙前には「選挙へ行こう」、当日には「私は投票しました」といったSNSへの書き込みが行われ、若者たちが互いに政治への関心を高め合って相乗効果を生んでいる。一方、日本では、これまでにも何度か有権者からの働きかけがあり、国会議員による検討が繰り返されてきたにもかかわらず、ネット選挙運動は制限されたまま総選挙を迎えた。
こうした現状を変えようと、ワン・ヴォイスでは、「本当にネットが政治の現場に有効に活用されるために必要な法案の改正や論点の整理などを、ウェブ上で公開し、広く多くの人たちに意見を募集」している。
【ワン・ヴォイスが掲げる主な論点】
- インターネットの利用を規制される「文書図画」の例外に。
- 車上での利用、演説会の告知などでも、インターネットを利用可能に。
- 公開討論会の開催を可能に。
- 政見放送のインターネットでの動画配信を可能に。
- 当選後のインターネットでのお礼などを可能に。
- インターネットでのパンフレット・書籍の配布を可能に。
- メールでの選挙運動を可能に(ただし、拒否する人に送ってはならない)
- 有料広告の禁止
- 落選運動は責任者の連絡先を明記
- 成りすましなどに虚偽表示罪を適用。
- 誹謗中傷に対するプロバイダ等の削除義務を7日以内から2日に短縮。
- 投票について、自書式から記号式(○(マル)を付ける方式)に変更。
また、サイトではワン・ヴォイスの提案する法案、自民党やみんなの党、現行の公選法との比較表などもあわせて掲載して啓発に努めている。
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