博報堂は、フードロス問題の解決をテーマとした「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」のキックオフシンポジウムを1月23日に開催した。
現在、世界で食用に生産された食料の約3分の1が食べられないまま廃棄されており、毎年約13億トンの食糧が無駄になっていると言われている。その要因は、農家の余剰生産や、販売段階での売れ残り、消費者の食べ残しなど。フードサプライチェーン全体で協力し、取り組まなければ解決しない問題だ。
「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」はこの問題に対し、生活者、企業、生産者、NPO、学識者などの多様な領域の関係者(=マルチステークホルダー)による共創型プロジェクトで、解決に向けチャレンジしていくもの。
プロジェクトの実行委員会に名を連ねるのは、国連食糧農業機関(FAO)日本事務所の大軒恵美子氏、NPO 法人 ハンガー・フリー・ワールド、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所ソーシャルデザインセンターなど。博報堂は運営事務局となり、プロジェクト全体のコーディネート、ファシリテーションの役割を担う。さらに、東芝テック、ニチレイフーズ、味の素の3社が協賛する。
具体的に今後プロジェクトで実施するのは、フードロスに関する事前知識や問題意識を共有するためのワークショップイベント、農家や加工工場、スーパーなどへのラーニング・ツアーなど。全体的な視野からフードロスの問題を把握した上で、異なる立場で問題に関わる参加者間で対話を重ね、課題解決のためのアクションを創出する。今年3月をめどに、リサーチレポートの制作、およびアクションプランの提案を行っていくという。
博報堂で本プロジェクトを推進する博報堂ブランドデザイン 組織変革ファシリテーターの兎洞武揚氏は「システム全体を学ぶことを通じてこそ、新しく生まれる解決策やイノベーションがあると私たちは考えている。このプロジェクトから、最終的に事業としてアウトプットして行きたい」と意気込みを見せる。本プロジェクトは、同社が開発したマルチステークホルダー乗り合い型価値創造プログラム「bemo(ベモ)」の第一弾としての位置づけ。広告会社の社会課題への新しいアプローチの形として、その成果が期待される。