米国・Twitter本社でグローバルの収益を担当する、広告プラットフォームの総責任者であるアダム・ベイン氏が来日した。氏の来日は約2年半ぶり。日本におけるツイッター利用の動向を踏まえつつ、収益化における重要基軸であるプロモ商品の日本での戦略について、来日中のアダム・ベイン氏とTwitter Japanセールスディレクターの味澤将宏氏に話を聞いた。
――日本における広告ビジネスの可能性をどう見ているか?
アダム・ベイン:現在、グローバルでツイッターのユーザー数は約2億、かつその半数が毎日使用している。1年前は約1億ユーザーだったことから、勢いをもって成長を続けていることを理解してもらえると思う。かつ日本におけるユーザー数の伸びは、グローバルの平均を上回っている。また日本のユーザーは、他の国に比べても非常にアクティブに活用しているので、今後の広告プラットフォームとしての活用可能性にも大きな期待を寄せている。
ユーザーは「今、世界で何が起きているの?」「今、ホットなことは何?」、あるいは「私の周囲で何が起きている?」という質問の答えを知りたくてツイッターにアクセスする。
企業がその質問への解を用意することで、これまでもエンゲージメントを深めるツールとして活用されてきた。さらに、その活用を後押しするのが3つのプロモ商品である。現在、プロモトレンド、プロモアカウント、プロモツイートの3つの商品があるが、広告主側が発信するメッセージの良しあしで、成果が変わる点が特長だ。
味澤:プロモトレンド以外、プロモアカウントとプロモツイートは成果報酬ベースのビジネスモデルをとっている。前者がコスト・パー・アカウント、後者はツイートに対する反応があって初めて報酬が発生するコスト・パー・エンゲージメントの課金システムであり、かつ例えば、RTされた先でさらにRTされても最初のRTまでしか課金されない点が特長。よいコンテンツをつくれれば、広告であっても拡散される点がツイッターの広告商品の面白さだと考えている。
――最近のユーザーの利用動向に特徴はあるか。
アダム・ベイン:スマートフォンをはじめとしたモバイル経由の利用の増加だ。それにより、テレビを見ながらツイッターを利用するという利用シーンが拡大している点に着目している。例えば、世界的にそこで流されるCMが話題になる米国のスーパーボールでは今年全部で70本のテレビCMが放映された。そのうち、半数以上でCM内でツイッターでのアクションを促す告知がなされるなど、ツイッターを連動したクリエイティブになっていた。2年前は全CMの約25%、3年前は1本しかなかったことを考えれば、番組コンテンツもCMもテレビと連動させたツイッターの活用可能性が広がっていることを示していると思う。特に日本はモバイルの利用が進んでいる。ツイッターにモバイル経由でアクセスするユーザーは米国だと約6割だが、日本の場合は約8割で、よりテレビとの親和性が高いと考えている。
――日本市場における広告ビジネスの現状は。
味澤:まだ日本での広告ビジネスは始まったばかりで、比較する対象となる規模が小さいということもあるがクォーターごとにクライアントの投資金額は、倍のペースで増えているし、またクライアント社数も同様に伸びている。最近の特徴は大手広告主だけでなく、オンラインのみで広告を展開するダイレクト系ビジネスの企業が増えている点だ。
――ユーザーにとって、ターゲティングされた広告は時に有用であり、行き過ぎると警戒心をあおることもある。心地よいと不快の境界線をどう見極めるかは、広告主企業の課題と考えるが。
アダム・ベイン:当社ではクライアントに対し、ツイートに対するユーザーのアクションを量・質の両面から分析したダッシュボードを提供している。これはプロモ商品を使ったツイート以外も対象にしており、こうしたデータを見ながら、ユーザーにとって心地よい、有益と思われるようなコンテンツ作りを支援している。
味澤:ツイッターが提供するプロモ商品は、個人の属性情報に基づくターゲティングではなく、インタレストを基にしたターゲティングであり、通常のオンライン広告とは異なると考えている。例えば、アドネットワーク経由で配信されるディスプレイ広告のクリックスルーレートは平均で0.01~0.02%といったところだが、ツイッターのプロモ商品の場合、もちろんコンテンツの良しあしにもよるがアクションが起きる割合は4〜5%で高い。
また1ユーザーが、広告に接触する回数を1日に1回のみに制限するなど、ユーザービリティを優先的に考えている点も特徴で、ツイッターというプラットフォームに広告スペースをあとから加えているわけではなく、企業のツイッター活用を後押しするような機能である点にもその思想が反映されていると思う。