この記事が掲載される3月13日には多くの読者が東京国際フォーラムで行われる宣伝会議60周年特別企画アドタイ・デイズに向かうことになるのであろう。調べてみると筆者は2009年5月6日の掲載を皮切りに4年間にわたり今回で168本目の連載となり、継続している連載では一番長いのではなかろうか。そういった意味でも本来私もアドバタイムズの発展を祝福するためにアドタイ・デイズに向かいたいところであるが各種業務の都合で参加できないのが少々心残りであるのでその思いを記事にしてみた。
さて筆者が連載を始めた4年前から何が変わっているのであろう? 一番大きく変わったことは4年前のAdvertimes(アドタイ)が毎週購読者に配布される紙媒体であったということであろう。これは二つの大きな変化をもたらした、それらは記事の鮮度と深さである。当然であるがアドタイが紙の時は原稿の締め切りも早く、そして何よりも記事の自由度が低かった。一回の文字数は800~1000字文字程度で画面のキャプチャーも一つくらいであった。2011年の4月にWebに完全移行してからは文字の制限もなく、入稿も(編集者にはご迷惑をおかけしているものの)日刊紙並みのスケジュールで進行できるということが大きなメリットになっている。
一方で膨大な情報量を紙面という限られた空間に落とすという技術は失われたかもしれないと思うのであるが、読者もそちらに慣れてきたのではないかと考えている。特にWebに掲載されるテキストの横書き形式の記事は口語体に近く、まとまられたものより詳細な内容を求めるのではなかろうか? そしてその記事に関連付けられたリンクや関連記事を参照することによってより深い理解を得ることができるのではなかろうかと考える。
さて振り返りに戻ると第一回目の記事はタイトルは「Web誘導の新しい形、番組との連動CMで」というもので当時の勤務先であった日本コカ・コーラで筆者が手掛けた番組タイアップ型CMを通じたWebへの顧客誘導に関してであった。このタイアップCMは番組のコンテンツを超える視聴率を稼ぎだし、サーバーが落ちるほどのトラフィックを獲得し今で似たような手法が多くの番組で取り上げられている。そして何よりも一番印象深い記事は「前払いクーポン割引サービス」で“おせち事件”はなぜ起こったのかである。筆者はこのころ活発にこの領域を記事にしたり取材したりあるいはサービスに組み込もうとしていた。
実はこの事件が起こった時には海外のリゾートに正月休みで訪れていたのであるが、サービス全体に潜む構造的な問題を浮き彫りにし再発しないように、一刻も早く自分の見解を届けたいという思いで海外で書き上げ、編集部にお願いしていち早くアップしていただいたものであった。このコラムのタイトルはiTrendでInternet/IT業界におけるマーケティングの最新トレンドを届け、またこの連載を通じて世の中を便利にする各種取り組みを紹介し推進して行くことの一翼を担えるとありがたく思っている。
江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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