Twitter、Facebook、Lineなどなど。広告に携わる人間にとって今や、インタラクティブ関連の新しいサービスからは、目が離せない。そういった文脈でここ1〜2年、広告界でも注目を集め始めたこのSXSW。今年は、電通も博報堂も人を派遣し、電通はトレードショーにブースも出すと聞いた。
カンヌライオンズを10年ウオッチングし、国際広告賞やカンファレンスを研究対象としている僕は、「これは行かねば!」と思い立った。デジタルやソーシャルを専門にしている人じゃなくても、「広告マンも絶対行くべき!」と、複数の知人から勧められたのだ。
本当に行く価値があるのか、いや、そうでも無いのか。他の国際広告賞やカンファレンスに比べて、極端に情報の少ないSXSWに乗り込んで、この目で確かめるレポートを、3回にわたって(興に乗れば4回かも?)お送りします。
いきなりで何ですが、結論から言えば「絶対に行くべきだ!」。それが、2日目を終えた本日3月9日夕方での感想です。
その理由を、この3回~4回の「生レポート」の中で、ランダムに明らかにして行きましょう。
キーワードのひとつは、「熱気にあふれた混乱」です。もちろん、ただの混乱ではなく、クリエイティビティの土壌となるような「混乱」。物理的に、とにかく混んでいるし、キッチリとオーガナイズされてない。
出国前にSXSW経験者に質問すると、みんな口を揃えて語るのが、「熱気」と「混乱」でした。混乱の方で言えば、いわく、ネットで手続きずみの登録バッジを受け取るだけで半日並んだとか、徒歩圏のホテルは半年前に埋まるだとか、会場近くでタクシーをつかまえるのはほとんど不可能だとか。
それから、会場はひとつではなくダウンタウンの一角に拡がっている。そのため、街じゅうが会場のようになっていて、そこかしこで、さまざまなイベントやハプニングが起こっている。しかも、超有名人が普通に歩いていて、熱く議論も出来る、とかなんとか。
それは、リアルに、本当でした。
最初に会場がひとつじゃない、と聞いた時、僕は勝手にメイン会場が狭いのだろうと思いました。ところがメイン会場のACC(オースティン・コンベンション・センター)は巨大です。やろうと思えば、この会場に収まる範囲でカンファレンスを運営することも出来る。でも運営者はそうしなかった。たぶん、「すべてをコントロールしよう」と、ハナから考えてないのです。そのセンスは、インターネットそのものと通じる。僕は、そう思います。
今年2013年の正確な数字はまだ出ていませんが、2012年で言うと、インタラクティブだけで24,569人、フィルムとミュージックも加えると全体として60,047人が参加。カンヌライオンズが多い年で10,000人ほどなので、いかに大きなカンファレンスであるかが伺えます。
Makerbot社CEOのBrePettisによる、初日のオープニング・リマークス(開会の辞)の言葉をご紹介しましょう。
Abondon plans, abandon friends, meet strangers.
「計画なんて捨てて、友達とも別れて、知らない人や情報に出会おう!」
【広告マンがSXSWに行くべき理由:その1】
空気を吸いに。真髄に触れに。
佐藤達郎
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数に参加。著書に、『NOをYESにする力!』(実業之日本社)、『アイデアの選び方』(阪急コミュニケーションズ)、『自分を広告する技術』(講談社+α新書)、『教えて!カンヌ国際広告祭』(アスキー新書)がある。
バックナンバー
- SXSWインタラクティブ2013の生レポート(3/3)「売り込みに。チャンスを見つけに。自らを表現しに。」
- SXSWインタラクティブ2013の生レポート(2/3)「学びに。出会いに。インスパイアされに。」
- SXSWインタラクティブ2013の生レポート(1/3)「空気を吸いに。真髄に触れに。」(こちらの記事です)