オウンドメディアのパワーは増大しつづけている
さて、1週間とは早いもので2回目となりました。第1回目はおかげさまでかなり多くの方々に読んで頂けたようで、「阿部さんの若い頃マッチョすぎて、まるでウェポンじゃん」「身長2m以上あるんじゃね?」などという反響も頂きました(笑)。ありがとうございます。HOTな性格だけに、色々と書きたいことが多く、ついつい長文になってしまうのですが、このコラムは全12回あります。毎回の文量をセーブしないとネタ切れになってしまう可能性があるので、もう少し落ち着いていきたいと思います。
前回のコラムは僕のパーソナリティと経歴の話で終わってしまいましたが、このコラムの本題である”オウンドメディアの未来”を話す前に、まずは、そもそも、なぜ企業の持つオウンドメディアをサービスプラットフォームへシフトしていかなければならないかを2回に分けて考えていきたいと思います。
その前提となっているのは、企業サイト(コーポレートサイト)は既に”非常にパワーを持ったメディア”として生活者や顧客とのタッチポイントになっているという事実です。
キャンペーンサイトなどの短期的、かつ一時的な認知や興味をひくためにトラフィックを稼ぐサイトとは異なり、企業サイトには、一般的な消費行動の中で多くの生活者が必然的に訪れています。
例えば、価格比較サイトで商品を比較した後、商品の詳細スペックや消耗品、オプション品などの有無を調べるために企業サイトで商品情報を見ることも日常的にあるし、ECサイトで購入したいものの詳細を見に行くこともあります。もし現物を見たければ、その商品がどこで見ることができるか調べることもあるかもしれません。こうした行動は、もう”一般的である”と言っても特に違和感はないのではないでしょうか。
企業サイトのトラフィックは一般的なBtoCを中心としたビジネスを展開する上場企業であれば、月間数”十万から数百万程度”のページビューがあり、”数万から数十万”のユニークユーザが訪れているのではないかと思います。非常に多くの生活者の目に触れる機会になっていると言えます。
もしかすると年間で加重平均を取ればスポットのキャンペーン的なサイトよりも企業サイトは安定したトラフィックを稼げているかもしれません。もちろんキャンペーンサイトは役割も異なりますし、そこからの企業サイトへの流入などもあると思いますが。
さて、前回のコラムで僕が前職の頃に、広告キャンペーンサイトを頑張って徹夜してつくっても、3ヶ月で無くなると書きました。その当時につくったキャンペーンサイトを今思い返すと、”まじめなもの”も”面白いもの”も沢山ありました。企画書ではきちんと目的やゴールを設定し、ブランドイメージ向上や顧客ロイヤリティの向上など効果は云々と謳ってはいましたし、オンラインを中心としたメディアプランニングで多くのキャンペーン応募を集めたこともありましたが、本質的にビジネスに貢献できたものは少なかったと思います。もちろん、当時の僕の自信の実力不足という可能性もありますが。
脱・カタログサイト サービス提供の場へ
このことを考えたときに一つの疑問が生じてきます。”広告予算”を”投資”として捉えるのべきか、”費用”として捉えるべきか、という点です。この点に関しては様々な意見があると思います。「マスを中心とした広告への予算投下を行えば、多くの生活者にリーチすることができ、中長期的な視点でブランド構築へとつながる」だから投資であるという考え方。
一方でUX(User Experience)的な観点で捉えたときに、そもそもブランドは商品やサービスそのもの、パッケージ、店舗、スタッフ、PR、広告、販促などの様々なタッチポイントとそこでの体験によってユーザによって醸成されるものであり、「四半期や半年ごとにクリエイティブが変わる広告キャンペーンがどこまでブランド構築に寄与しているのか分からない」ため費用ではないかという考え方。
もちろんこのどちらが正解とは言えませんが、もし中長期でブランドイメージを醸成するための”投資”として広告を捉えるのであれば、現在の短期のキャンペーン戦略・施策をコンペを行い、クリエイティブもエージェンシーも四半期や半年で変わるようなやり方は限界なのかもしれません。(もちろん全てがこれに当てはまるわけでは無く、中長期で戦略をたて、確実に施策を実行しているブランドもあります)
これらを踏まえて企業サイトを考えてみると、多くの場合は、これまで”継続的に運営してきた=投資してきた結果”が、今の企業サイトのかたちであり、その結果が”非常にパワーを持ったメディア”に成長したと捉えることもできます。(費用として広告予算かどうかは別問題として)
実際に僕たちが企業サイトやサービスサイトの立ち上げをお手伝いする際も、そこでのビジネス貢献がどのようなもので、どのような効果指標を持ち、改善しながら育てていくという前提での話であり、マーケティング的な投資として捉えられることがほとんどです。
つまりは、これからの時代はその”パワーをもった企業サイト”を単なるカタログサイトではなく、生活者や顧客とのコミュニケーションやビジネスに有効活用していくかという視点が欠かせないのではないでしょうか。
そのためには、オウンドメディアは”単なる企業サイト”から”様々なサービスを提供するためのプラットフォーム”として変化していかなければなりません。その覚悟をもって”変化”し”チャレンジ”し、生活者や消費者に対し有益な体験や価値を提供していけるか、まさに今、問われているのです。
さて、ここまで読んで頂きありがとうございました。2回目は結構堅苦しい感じになってしまいましたね。次回はプラットフォーム化することで、どのようにマーケティングに貢献できるかについてお話していければと思います。
【阿部淳也「HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来」バックナンバー】