竹田芳幸(POOL inc. コピーライター・プロデューサー/宣伝会議コピーライター養成講座 総合コース、上級コース、専門コース谷山・井村・吉岡・照井クラス、小西クラス修了)
それは、〇〇〇より価値があるのか。
2012年の5月から、僕はPOOL inc.という会社でコピーライター兼プロデューサーとして働いています。
弊社POOL inc.の代表は、コピーライター/クリエイティブディレクターの小西利行(通称コニタン)。※小西の仕事についてはPOOLのWebサイトをご覧ください。
最後のコラムで書かせていただくのは、最近、小西とした会話です。
それは、打合せに向かう途中の歩道でした。カラオケ屋の前に貼ってあったポスターのコピーを見て小西が、「この、〇〇〇〇〇〇ってコピー、なんのために書いてあるんだろうな。これだったら、うんこって書いてある方が気になるよな。つまり、〇〇〇〇〇〇は、うんこ以下ってことだよな」と言いました。
どこまで本気だったのかわかりませんが、この会話は僕の心に強く残りました。
「コピーは役に立つ言葉」「コピーは矢印」「コピーは新しい価値の提案」等々、講座の先生やCDに言われたことは、わかってはいるつもりだけれど、どうしてもレトリック的に上手くいっているコピーや、情景を描写したようなコピーが書きたくなってしまう僕。
そんな僕に生まれた新しい基準。それが「>うんこ」でした。
自分が書いたコピーは、その広告の中で「うんこ」と書くより価値を示せるのか。それを基準に考えると、如何に自分の書いた言葉が無意味だったのか気づきます。
カラオケ屋のポスターのコピーも同じです。レトリック的に上手いような気もする。なんとなく良いような気もする。でも何も訴求していないし、印象にも残らない言葉でした。
まだまだ、良いコピーが何なのかわからない僕ですが、一つの基準を持てたことは、次のステップへつながる一歩なのだと思います。
最後に。
いろいろな縁と運があり、僕はいまコピーライターをやっています。この仕事は楽しくて、いまの環境が大好きです。いろいろな職種を経て、ここにたどり着いた僕が、いま言えることは、やっぱりしっくり来る仕事とか職場ってあるんだなということです。
だからもしいま、昔の僕のように仕事でモヤモヤしている人がいるなら、思いきって環境を変えてみるのもいいと思います。
世の中のどこかにある、天職みたいなものに出会えるかもしれません。
僕は「コピーライターが天職です」というには、まだまだチカラが足りないので、もっと胸をはって天職と言えるように日々、努力します。
努力が実って、またコラムを。今度はもっと違う形で書けたなら、その時またお会いしましょう。それでは、また会う日まで。
全4回、ご覧いただきありがとうございました。
※竹田芳幸さんのコラムは今回で終了です。来週からは「第50回宣伝会議賞」のグランプリに輝いた日野原良行さんのコラムを掲載します。
竹田芳幸(たけだ・よしゆき)
POOL inc. コピーライター/プロデューサー。1983年1月生まれ。静岡県焼津市出身。法政大学経済学部卒業。京王エージェンシー、goen°、浪漫堂を経て2012年POOL inc.入社。NPO法人シブヤ大学 授業コーディネーター。POOL inc.のfacebookも担当しています。
宣伝会議コピーライター養成講座 総合コース、上級コース、専門コース(谷山・井村・吉岡・照井クラス)、専門コース(小西クラス)。
バックナンバー
「コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
- 2013年1月 平野慎也「25歳、新人コピーライターのリアル。」
- 2012年12月 室山加奈子「Webディレクター、コピーを学ぶ」
- 2012年11月 小野勇樹「いちデザイナーが感じる、言葉の大切さ。」
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
- 2012年7月 杉山元規「悩める29歳(1)」
- 2012年6月 栗栖周輔「学歴なし、職歴なしで広告業界に入るには」
- 2012年5月 永友鎬載「僕の失敗(1)」
- 2012年4月 大津健一「幸運の女神は最終講義で微笑んだ」
- 2012年3月 大重絵里「考え続けられる人が、輝いている」
- 2012年2月 山川力也「コピー」じゃなくて、「いいコピー」を書くために。
『コピーライター養成講座』
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。