“O2O”が注目を集める理由

「クリック&モルタル」とは何が違うのか

今、広告業界にとどまらず注目を集めている“O2O”。
マーケティング、流通をも巻き込んだこの概念をどのように理解し、活用していけるのか。
そして広告の領域から汐留の会社の中で、どのような議論をして整理していくのかを、個人的な視点として、12回のコラムでご紹介していきます。

その第一回は、「なぜ、今“O2O”なのか」という点の整理です。
「一体O2Oって何だ?」ということを考える前に、なぜ今、“O2O”というものが注目を集めているのかを整理していきたいと思います。

“O2O”というトレンドワードが新しいものかと考えると、十数年前にトレンドワードとして注目されていた”クリック&モルタル”というキーワードに立ち返る必要があります。

「クリック&モルタル」とは、インターネットで店舗や商品の告知を行い、実店舗への誘導をはかっていくというマーケティングの手法のひとつです。

当時は、AmazonなどのECが伸び始めている時期でしたが、インターネットで買われる商品は、本やCD、デジタル機器などの手に商品個別の差異がないものが中心とされていて、まだまだインターネット上ではクレジットカードの番号を入れることを不安視して購入しないヒトの割合も今と比べると格段に多い状況でした。

そのために、インターネットを告知媒体として、実際の購入は店舗に誘導して商品購入頂くという流れをどのように効率的に行うかが企業のコミュニケーション検討の中心にあったものと考えています。

オンラインとオフラインをつなぐマーケティングが容易に

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ただ、実際にインターネット上でコミュニケーションしたユーザーが実際の店舗に来てくれたか、その紐付けや個別ユーザーの識別などは難しく、Webサイト上やメールマガジンなどでクーポンを配布して、プリントアウトして持ってきてもらうなどを行うに留まっていました。

その一方で、配送料の低価格化や配送時間の短縮、多彩なECサイトの立ち上がりなどもあり、インターネットを告知までとする流れ以上にECの成長に目が行く時代が続いてきたという実感を持っています。

ただ、“クリック&モルタル”的なアプローチがなくなっていたかというとそうではなく、インターネットで告知して店舗に連れてくるという流れが一般化したということも、キーワードとして注目をされなくなった背景のひとつだと言えます。

ここに来て、“O2O”というトレンドワードが市場の注目を集めている理由は、どこにあるのでしょうか?
“O2O”と“クリック&モルタル”の違いは何でしょうか?

詳細は、次回以降のコラムで紐解いて行きますが、これまでは追いかけることが難しかったオンラインでのユーザー行動のトラッキングとオフラインでのユーザー行動でのトラッキングを紐付けて把握することができるようになり、企業としては、オンラインとオフラインを行き来させるマーケティング活動できる土壌が醸成されてきたことがその主たる理由として考えています。

次回は、オンラインとオフラインのトラッキングをつなげるためにはどうするべきか?という視点で“O2O”を整理していきます。

吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)
吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)

電通デジタル・ビジネス局メディア企画部、アート・ディレクター。
SEMやYou Tubeのメディア価値測定など新しい価値尺度の算出やテレビと組み合わせたリッチメディア広告の立ち上げなどを経て、現在は、Google、Facebook、Twitterなどのプラットフォームを活用したコミュニケーション設計・プロダクト開発、iPhone/Android向けのアプリケーション制作担当。また、テレビ・新聞・雑誌などのメディアとインターネットのクロスメディア戦略やサービス開発なども手がける。

吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)

電通デジタル・ビジネス局メディア企画部、アート・ディレクター。
SEMやYou Tubeのメディア価値測定など新しい価値尺度の算出やテレビと組み合わせたリッチメディア広告の立ち上げなどを経て、現在は、Google、Facebook、Twitterなどのプラットフォームを活用したコミュニケーション設計・プロダクト開発、iPhone/Android向けのアプリケーション制作担当。また、テレビ・新聞・雑誌などのメディアとインターネットのクロスメディア戦略やサービス開発なども手がける。

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