ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年4月号の記事を掲載します。
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
資生堂マキアージュアプリ「ビジンメークナビ」
企業がスマートフォン向けアプリを作成した際、最も悩ましいのが「アプリのプロモーション」だ。いかにユーザーに認知させ、ダウンロードして使ってもらうかが課題となる。多くの企業の場合、アプリを得意とする広告会社に依頼するか、担当者が地道にツイッターやフェイスブックを駆使して、ソーシャルの力で普及させるという方法が一般的だ。
そんな中、スマートフォンメーカーの力を借りて、一気に普及が進みそうなのが資生堂のアプリ「ビジンメークナビ」だ。これはスマートフォンのカメラで撮影した自分の顔に、資生堂の「マキアージュ」で展開されているチークやルージュを使って、メークが施せるというものだ。
このアプリは、Google play などのアプリストアで一般に配信されてはいない。NTTドコモのシャープ製スマートフォン新商品「AQUOS PHONE EX SH-04E」に、プリインストールされている。「ビジンメークナビ」のように、実際の写真の上にリアルタイムでメークを行うには、端末に相当な処理能力が必要とされるが、この機種なら「メークもサクサクと行える」(NTTドコモ)という。
AQUOS PHONE EX はシャープが女性をターゲットに開発したスマートフォンで、ハイスペックモデルよりも画面サイズも小さめに作られているのが特長だ。今回、「ビジンメークナビ」を搭載したのはシャープからの提案で「女性ユーザーに新しいスマートフォンの楽しみ方を提供することを狙った」(シャープ)のだという。
資生堂は、メークシュミレーション技術を持っており、それをスマートフォン用アプリとして開発し、搭載が実現した。シャープと資生堂は、女性向け商品の開発について、以前より情報交換をしてきた関係にあり、話がスムーズにまとまったようだ。実は、資生堂はスマートフォン向けアプリを数年前から手がけており「SHISEIDOビジン道場」というアプリを2011年に配信している。
ここ最近、スマートフォン市場は初心者ユーザーが急増し、なかなか新しいアプリをインストールしない傾向も強くなっている。そんな中、資生堂としてはスマートフォンの新製品に「標準搭載」されることで、一気にユーザーにリーチでき、シャープとしても競争の激しい中、他メーカーと差異化ができる。「メーカーに標準搭載してもらう」というのも、アプリのプロモーション手段として有効であるようだ。
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