木村健太郎(博報堂ケトル)、磯部光毅(磯部光毅事務所)という2人のクリエイター/アカウントプランナーによる本書は、「何かを解決する時に、自分たちはどうやってブレイクスルーしているのか」、そんな疑問から生まれました。これまで広告の仕事で培った知見と経験をベースに、ビジネスや日常生活のたとえ話や事例を盛り込みながら、「ひらめきの原理」となる思考ロジックを独自に分析し、見える化。この本を読み終えたとき、誰もが「ブレイクスルーの思考法」を手に入れることができます。
本連載は、4月2日に発売した書籍『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』の出版にあわせて掲載します。
木村健太郎(博報堂ケトル クリエイティブディレクター/アカウントプランナー)×
磯部光毅(磯部光毅事務所 アカウントプランナー/コピーライター)
今年の桜は早かったですね。
お花見の場所取りが新入社員の最初の仕事だと言っていた時代もありましたが、今年は入社前に桜があらかた散ってしまったようです。
就職して学生から社会人になるということは、言うまでもなく人生におけるライフステージの一大変化ですよね。
では、学生と社会人の一番大きな違いとは一体なんでしょうか。
もちろん経済的な自立や社会的責任が増えるということが大きな変化なのですが、その最大の変化は、「正解がない問題に取り組む事」なのではないかと僕らは思います。
振り返ってみると、学生の時は、入試やテストから、授業やゼミ、部活やサークル活動、留学や卒論などにも、取り組むべき問題に、なにかしらぼんやりとでも「正解」があったことが多かったように思います。
もちろんそういった「正解」に歯向った学生生活を送られてきた方もたくさんいるとは思いますが、日本の教育システムというのは、伝統的に「正解のある課題」に取り組むカリキュラムをベースに作られていると思います。
しかし、社会人になってから取り組む課題には、「正解」がないものがほとんどです。
特に商品開発やマーケティング、コミュニケーションやサービス開発など、生活者と向き合う仕事に就いた場合、ほぼ100%、正解がないことはみなさん感じることかと思います。人の気持ちはセオリー通りに動かないからです。
また、僕らが入社した時に比べても、今、企業や社会が抱える課題に、ますます正解が見えなくなってきたのを肌で感じます。今、僕らが立ち向かう課題は、正解のない課題だらけです。
現状把握の調査にお金をかけた。原因分析に時間をかけた。問題点の整理はできた。でも、解決の糸口が見つからない。そんな悩みに日々ぶつかりまくる訳です。もちろんセオリーや考えを整理するためのフレームはあるけれども、それが目の前の仕事を100%解決してくれることはほとんどありません。
また、ライバルに見劣りするからライバルのマネをしよう、認知が低いからもっと広告を打とう、コストがかかるからコストをカットしよう。そんな問題点を裏返しただけの、一見納得しやすい解決策では、本当の解決に結びつきません。
正解のない課題を突破するためにはどうすればいいのか。
必要なのは、ブレイクスルー、つまり創造的な解決策のアイデアを発想することなのです。
じゃあ、僕らは正解のない課題を突破するために、どう発想しているのだろう?
実はブレイクスルーとはきわめてシンプルな原理で起こっているのです。それを可能な限りわかりやすく解き明かして、誰でも突破思考の技術を手に入れられるようにしようと思って本を書きました。
まだ誰も解いたことのない課題には正解がありません。
新しい答えを作っていかねばならないのです。
最大の敵は、臆病な思考。
勇気ある思考だけが、ブレイクスルーをつくるのです。
これから数回に分けて、そのエッセンスを少しずつ紹介する連載をさせて頂きます。
4月2日全国書店にて発売開始。
ぜひ一度、手に取ってみてください。
(磯部光毅)
木村健太郎(きむら・けんたろう)
博報堂ケトル 代表取締役共同CEO/エグゼクティブ クリエイティブディレクター/アカウントプランナー
1969年生まれ。一橋大学商学部卒業後、1992年博報堂入社。戦略からクリエイティブ、PR、デジタルを越境した統合的なプランニングスタイルを確立し、2006年博報堂ケトルを設立。従来の広告手法にとらわれない「手口ニュートラル」というコンセプトで、アイデアを沸かして世の中を沸騰させるコミュニケーションを提案・実施している。
磯部光毅(いそべ・こおき)
磯部光毅事務所 アカウントプランナー/コピーライター
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)へ転属。2007年4月独立、磯部光毅事務所設立。戦略畑、クリエイティブ畑両方での経験を活かし、単なる広告開発に限らず、経営戦略、商品開発、コミュニケーション開発、情報戦略立案から、コピーワークまで、全バリューチェーンを横断的にプランニングすることを得意とする。
『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』の著者である木村健太郎氏(博報堂ケトル)、磯部光毅氏(磯部光毅事務所)が、ビジネスに使える企画発想力を具体的な実践トレーニング、ワークショップで徹底的に指導します。
開催日:2014年07月05日(土)、2014年07月19日(土)全2回