日野原良行(ズームデザイン コピーライター/宣伝会議コピーライター養成講座 2009年秋基礎コース、2010年春上級コース修了)
コラムの第3回目を書かせていただきます。
日野原良行と申します。
今回は宣伝会議賞グランプリを獲るにあたり、
どのようにして取り組んでいったのか
自分なりに書き綴っていこうかと思います。
フライング作戦
まず課題が発表されたら、
その企業や商品について徹底的に調べる。
SNSや口コミサイトでどう言われているのか、
競合となるものは何なのかなど、
ポジショニングをしっかり理解する。
そこからさらに、
ターゲットやインサイトなどを深掘りして、
提案できそうなことを考える。
商品を言い当てる言葉よりも、
商品を動かす言葉を見つける。
…と、これらのことは
9月1日からはじめられるのですが、
実はもっと前からできることがあります。
それは、「この商品が課題になるかも」と
山を張ってコピーを書き溜めること。
そういった意味でいうと、
僕の第50回宣伝会議賞は
4月頃からはじまっていました。
「サランラップは出るだろう」と思って、
事前に200本くらい書き溜めていたし、
具体的な商品のコピーじゃないにしても
「お酒系」「住宅系」「健康系」など、
大きなカテゴリーについて、
視点のヒントとなるような言葉を
少しずつストックしていきました。
「フライング作戦」とでも言いましょうか、
何にせよスタートは9月1日ではないのです。
コピー技法56
事前にできることは他にもあります。
それは、伝え方の研究です。
今回応募にあたって、
過去の受賞作を分類・分析した
「コピー技法56」というものを作成したのですが、
これにはかなり助けられました。
どんなものなのか、
その一例をご紹介いたします。
- ミクロとマクロを同時存在させる。
「その車内には、会社に向かう人と、世界遺産に向かう人がいた。」 京阪電鉄 - 一見べつの意味に思わせるようにする。
「家に帰ると、母が倒れていた。」 東京ガス - 自分を第三者として描く。
「この人です。探してた私。」 TBC - 時間軸で物事を考える。
「僕がいま生きている1時間は、いくらだろう。」an
などなど。
以上のように表現の分析をしておくことで、
コピーを書く際のヒントが得られます。
もちろんいちばん大切なのは視点なのですが、
同じ視点でも、言い方ひとつで
結果が大きく変わったりするので、
伝え方を磨くことも大切だと思います。
グランプリのコピーも技法を活かして書きました。
(もしこの「コピー技法56」に
ご興味ある方がいらっしゃいましたら、
SNSなどでご連絡いただければ、
いつでもお送りいたします。)
…と、なんだか長くなってしまいましたが、
少しでも賞に挑戦する方のお役に立てればと思い、
書かせていただきました。
自分なりのやり方を見つけておくこと。
それが受賞への近道なのかもしれません。
そして、次回は最後のコラムとなります。
読んでくださった方にとって、
少しでも意味のあるものが書けますよう、
気合いを入れたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
以上、ドヤ顔をかき消そうと必死になる
24歳コピーライターがお送りいたしました。
日野原良行(ひのはらよしゆき)
ズームデザイン コピーライター。1988年生まれ。東京都中野区出身。國學院大學文学部日本文学科を卒業後、2012年から現職。映画「ノルウェイの森」コトバの森キャンペーン特別賞、東京スマートドライバー 横断幕メッセージ最優秀賞、第48回宣伝会議賞 協賛企業賞、第50回宣伝会議賞 グランプリなど受賞。宣伝会議 コピーライター養成講座 2009年秋基礎コース、2010年春上級コース修了。
「コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
- 2013年3月 竹田芳幸「ありがとう。大石さんと石田さん(コピーライターになる編)」
- 2013年1月 平野慎也「25歳、新人コピーライターのリアル。」
- 2012年12月 室山加奈子「Webディレクター、コピーを学ぶ」
- 2012年11月 小野勇樹「いちデザイナーが感じる、言葉の大切さ。」
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
- 2012年7月 杉山元規「悩める29歳(1)」
- 2012年6月 栗栖周輔「学歴なし、職歴なしで広告業界に入るには」
- 2012年5月 永友鎬載「僕の失敗(1)」
『コピーライター養成講座』
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いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。