※本記事は宣伝会議4月15日号からの抜粋となります。
「ママ、今日はTRF踊らないの?」親子消費で火がついた
今年3月から4月にかけて、ダンスグループ「TRF」のデビュー20周年記念のライブツアーが東名阪など五大都市で開催された。このツアーに冠協賛したのが、NTTドコモグループの通販事業会社・オークローンマーケティングによるショップブランド“exabody(エクサボディ)”だ。
同社は2006年以降「ビリーズブートキャンプ」「コアリズム」といった海外発のエクササイズDVDをヒットさせ、自宅でDVDを使ってエクササイズを楽しむという市場を創り出した。そして昨年6月に発売したのが、TRFのヒット曲とともにメンバーがダンスの振り付けを指導するエクササイズDVD「TRF イージー・ドゥ・ダンササイズ」だ。
「主な購入者は30~40代の女性。TRFのヒット曲になじみ深い世代でもあり、誰もが知っている曲で踊りながらエクササイズを続けられるという意味で、ターゲットとの親和性も高かった」と同社でexabodyブランドの商品を統括する浅野茂樹氏は説明する。既に4枚のDVDを発売、2月末には総売上枚数で100万枚を突破するなど売れ行きは好調だ。
ヒットの要因はターゲットとの親和性、TRFのヒット曲による効果のみに留まらない。商品開発からプロモーションまで担当してきた同社の棚橋由紀子氏は「日本人による指導という安心感」「キッズダンスブーム」も追い風になったのではと分析する。
「例えば海外発のビリーズブートキャンプは掛け声やスタイルに独特のカルチャーがある。熱狂的なファンもいる一方で、ややハードルが高いと感じる人もいる」といい、エクササイズに興味はあるが、なかなかその一歩を踏み出せなかった人にとって「昔から知っているTRFのメンバーに指導してもらえる」という親近感が、既存商品との差別化につながった。
購入者からも「一度TRFの曲で踊ってみたかったんです!」「振付をマスターしようと夢中で踊っているうちに、効果が出てきました」「ダンスは初めてだったけど、一つずつ振り付けを覚える達成感があった」といった感想が集まっており、“楽しさ”に対する評価が突出しているという。
また昨年4月から中学校の体育でダンスが必修科目となるなど、子どもの間でダンスが盛んな点も、コアターゲットであり子育て世代でもある30~40代女性のモチベーション維持に一役買っている。「親子でエクササイズを楽しんでいる家庭も多い。DVDにもキッズダンスのパートを収録しており、子どもに“ママ、今日はTRF踊らないの?”とねだられて毎日踊っている…というお母さんもいるそうです(笑)」と棚橋氏。
TRFとレッスン体験、ライブ出演のチャンスも
同社がこれまで販売してきたエクササイズDVDは海外発のものが中心で、国内で独自開発するケースは珍しい。プロモーション戦略も、既存商品はテレビのインフォマーシャルとネットが中心だが、今回はタレントを起用したマスコミ向けPR、屋外広告やアドトラック、電車内ビジョンへの出稿など、同社としては前例のない施策を立て続けに投入した。
3月からよしもとの女性芸人3名が約1カ月のダイエット企画にチャレンジ。
(右から)ツジカオルコさん、出雲阿国さん、関好江(ボルサリーノ)さん。
今後、このダイエットの成果をプロモーションに活用していく。
ちなみに左の3人はTRFに扮した森三中のメンバー
中でもコアなファンに対する施策として、昨年末の購入者限定キャンペーンではTRFのメンバーと“ダンササイズ”を楽しめるイベント企画を実施した。抽選で選ばれると全国5カ所でTRFから直接レッスンを受けられるというもので、参加した約300人のうち、各地域で選抜された10人が実際にライブのステージに上がり、ダンスを披露している。
これらの取り組みにより、今年3月に実施した一般消費者向けの認知度調査では20~60代女性の半数以上、30代女性では約7割がこのDVDの存在を知っていると答えている。また認知経路として、テレビのインフォマーシャルよりもその他のメディア経由と回答した層が上回ったのも既存商品にはないケースだった。
さらに4月15日には2ndエディションとして3枚組のDVDを新たに発売する。ここにもファンからのリクエストを反映し、背面からも振り付けを確認できる「バックビュー」機能を追加した。TRFがライブで披露している振り付けも取り入れ、よりTRFになりきりたい”ファンの満足度を高める仕様としている。