チームの力を最大化する 3つのポイント
連載開始から早いもので今日で第6回目となりました。連載を始めるにあたって、原稿は日頃の仕事の合間に書こうと思っているものの、僕は思考する時間が長く、書き始めるまでに時間がかかる性分のため、結果的に締め切り日の深夜になってしまいがちです…。そしてまた、続けることの大変さを痛感しています。ブログもそうですが書き続けている人は本当にすごいな~と。しかしながら本コラムは多くの方に読んでいただけているようで、おかげさまで5回のうち3回は、週間ランキングに入ることができました!ありがとうございます!ということで、今日は気分転換もかねて、打ち合わせ前の時間前に若干時間を確保して、天気の良いお台場で書いています。もう少しこういうかたちでリラックスして楽しみながら書けるように心がけていきたいと思います!
さて、前回お話したチームビルディングの話ですが、企業側の方からもエージェンシーやプロダクションの方からもたくさんのポジティブな反応をいただきました。多くのみなさんがオウンドメディアをマーケティングプラットフォームとして進化させていくには、企業側の覚悟(トップのコミットメント含め)、担当者の熱意、それを支援、推進するチーム(体制)が重要だということに気がついているということですね。
チームとして最大限の力を発揮してプロジェクトを進めていくには、第3回のコラムでお話ししたように、広告キャペーン的な感覚で四半期や半期ごとのコンペでのパートナーを選定し丸投げするようなやり方ではうまくいきません。プロダクションやデベロッパーをエージェンシーの下請的な立場で動かしていくようなやり方も、効率は上がったとしても、中長期で動ける本質的なチーム(もちろん役割分担は必要ですが)としては機能していかない可能性が高いです。
もしかしたら、皆さんのチームが大きく効果を出すためにまず考えるべきは、今までの考え方、進め方、やり方を疑い、改めることからかもしれません。
そのための方法を、ここでは大きく3つ取り上げたいと思います。
1.当事者意識とチームのプロジェクトへの意識付け
ワンパクが相談を受ける企業の中にも、旧来のやり方に慣れてしまっている企業側のマネジメントや担当者で”プロジェクトはパートナーがやってくれるもの”という意識を少なからずもっている方がいます。
例えば、短期的な広告キャンペーンであれば、戦略も企画も丸投げ、効果が出なければクリエイティブを変えたり、エージェンシーを変えてどこかに責任を押しつければ良かったかもしれません。しかし、コミュニケーションもチームも毎回変わってしまうようなそんなやり方でチーム力は上がるでしょうか?
何度も繰り返しますが、オウンドメディアは企業そのものや企業の事業やサービスに近い位置づけのものになります。中長期と短期的な両軸の視点で戦略と戦術を描き、目的とゴールを設定し、物事を判断し、”責任を負い”、効果を測定・検証し、改善を続けながら、ビジネス・マーケティングプラットフォームとして機能させていかなければなりません。
そのためにはまずは企業側が主体性を持ち、当事者意識を持つ必要があります。当たり前のことですが、プロジェクトとは”企業のビジネスの課題を解決するために目的とゴールを持って推進していくもの”です。
もちろんそこにアサインされる、企業側、エージェンシー、プロダクション、デベロッパーなど全てのメンバーも、ビジネス上の課題解決のために、プロとしての”主体性”と”当事者意識”を持ち、当然ながらプロジェクト全体としての”責任”も共有しなければなりません。
単純なことですが、意外にプロジェクト開始前に、こういった意識を共有しておくことが大切だったりします。
2.ビジネスへの深いコミットメント
これは大きく2つの意味を持ちます。
1つは前項と密接に関わる部分ですが、社内のプロジェクトメンバーや社外のパートナーのメンバー達に当事者意識、主体性、責任を持ってもらう上でも、なるべく早い段階からチームとしてプロジェクトに参加してもらう、つまり単に制作や開発だけを切り出してお願いするのではなく、プロジェクト自体がどのようにビジネスに貢献していくか、考える部分も含めてコミットしてもらうという意味です。
個人的には、企業側ではテーマとアウトラインを描くところまでを進め、そこから先の具体的な戦略や施策に落とす部分は、”チームで”企業が抱える本質的な問題点を洗い出し、課題を設定し、ビジネス要件とユーザ的な観点の双方から戦略と施策を立てていく流れが理想だと考えています(そのためには後述するワークショップスタイルのディスカッションが効果を発揮します)。
もう1つは、新たにオウンドメディアを立ち上げる場合に、商品・サービスそのものや、商品・サービスブランドも含めたコミュニケーション全体の領域の話になっていくことがあるという意味です。
シンプルに言うと「それって一つの事業になりえる話だよね」や「それって商品そのものを変えないと駄目だよね」的な話というと分かりやすいかもしれません。これは様々なものがインターネットにつながっていくがゆえの流れなのかもしれません。例を挙げると「NIKE+」やオムロンの提供する「WellnessLINK」のようなサービス開発領域に相当するものです。
このようなプロジェクトの場合は、ビジネスとしてのミッションや事業としてのP/L(損益計算)やKGI(Key Goal indicator:重要目標達成指標)なども含めてチームとして共有し、これまで以上に真の意味でのパートナーとしてチームとして深くコミットし、メンバーが熱意を持って取り組まなければ、プロジェクトを成功させるのは難しいでしょう。
3.プロセスデザインと協調型プロジェクト
ここまでの話を実行すれば、企業側、パートナーも含めたチームメンバーの意識はだいぶ高まっていくでしょう。では、そこから、どのようにプロジェクトを進めていけば良いかという話になります。これには大きく2つの要素が必要です。
まず必要な要素はプロジェクトそのものデザインする=プロセスをデザインするという発想です。プロジェクト計画を立てるというと堅い言い方になりますが、意外にこれができていないプロジェクトが多いのです。
仮に戦略立案から行うプロジェクトだったとして、戦略や施策を策定したり、詳細の要件を決めていくために、どんなタスクが存在し、何をいつまでに、どこまで決めていかなければならないかを、最初の時点でできる限り明確にした上でプロジェクトをキックオフします。
次に必要な要素は、事前に明確にしたプロセスに基づいて行うディスカッション(主にワークショップ形式)になります。プロジェクトには企業の部門間をまたいだメンバーや、様々なパートナーが参加するケースがほとんどです。その中で大切なのは誰かの思い込みで戦略や戦術、要件を決めるのではなく、コアメンバーが主体となり、本質的な問題を探求し課題設定したり、熱い思いを発散したり、整理したりを繰り返しながら、合意を形成していくという、”協調型のプロジェクトスタイル”です。それが結果的に当事者意識や責任感にもつながっていきます。
逆に従来の提案型(エージェンシーやプロダクションが提案したものを、会議の場でパラパラ見て善し悪しを判断したり、企業側が持ち帰った上で、マネジメント層が感覚的に判断したりするやり方)ではメンバー間での合意形成がしづらく、結果的に手戻りが多くなったり、アウトプットが納得いくかたちにならなかったり、メンバーのモチベーションも下がり、プロジェクトとしての目的やゴールを達成できないということに陥りかねません。
ワンパクでは、パートナーとして企業と共に様々なプロジェクトを進めるにあたって、このような考え方や手法を取り入れようと考えている、経営者やプロジェクトマネージャーの方を積極的にサポートしています。
次回以降はワンパクがどのようなプロジェクトの進め方や企業のサポートをしているのかを、もう少し具体的に紹介していけたらと思います!お楽しみに!
【阿部淳也「HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来」バックナンバー】
- 第5回 どれだけ熱く、強く、優秀なチームを作れるか ―― チームビルディングの作法(4/11)
- 第4回 企業サイトのプラットフォーム化 超えるべき5つのハードル(4/4)
- 第3回 オウンドメディアはサービスプラットフォームに進化する(後編)(3/28)
- 第2回 オウンドメディアはサービスプラットフォームに進化する(前編)(3/21)
- 第1回 “Webサイト制作”という言葉じゃもう、語れない!(3/14)