日野原良行(ズームデザイン コピーライター/宣伝会議コピーライター養成講座 2009年秋基礎コース、2010年春上級コース修了)
最後のコラムとなりました。
コピーライター2年目の日野原です。
何を書こうかずっと悩んでいたのですが、
最終回となる今回は、
大好きなコピーライターという職業のことや
コピーそのものについて書こうかと思います。
コピーライターの好きなところ
以前、とある番組に仲畑貴志さんが出ていました。
そのなかで仲畑さんは、小学生に腐ったトマトを見せ、
「これを広告してみよう」というお題を出します。
みんなはどんなコピーを考えるのか。
気になって見ていたのですが、
とある男の子が、「バツゲーム専用のトマト」
というコピーを書きました。
仲畑さんはこのアイディアに感心し、
「価値が生まれていてコピーになっている」
と男の子を褒めました。
あらゆるものに価値を見いだす。
それが、コピーライターという職業の
好きなところのひとつです。
例えば小さなペン。例えばありふれたシャツ。
一見たいした価値のなさそうな物でも、
そこには必ず何かしらの価値が潜んでいる。
コピーを書くときは、
その対象の「いいところ」を探すわけですが、
探せば探すぶんだけ好きになって、
どんどん愛情が深まっていきます。
だからこの仕事を続けていくと、
愛せる物が増えていって、
楽しい人生を送れる気がするのです。
いいコピーってなんだろう
「全てのゲームは、ここに集まる。」
という、プレイステーション発売当初の
スローガンがとても好きです。
理由は、企業を動かす戦略が含まれているから。
ただ現状を言い当てるだけの言葉でなく、
正しい方向へと引っ張っていく言葉になっていて、
とても価値あるコピーだと思います。
同じような話として、
以前参加していたインターンシップのなかで
磯島拓矢さんが教えてくださったことがあります。
会社の新人研修で「パンダのコピーを書きなさい」
というお題を出したときに、ある人が、
「神様がくれたぬいぐるみ。」
というコピーを書いてきたそうです。
「なるほど、うまい」となったのですが、別の人が、
「パンダのしっぽは黒でしょうか?白でしょうか?」
というコピーを出してきて。
結局はこちらを評価したとのことでした。
言い当てるコピーと動かすコピー。
そのどちらも価値があると思うけれど、僕は、
企業やターゲットを動かせるようなコピーを書いて、
少しでも社会を潤していけたらと思います。
そしてあらゆるものを愛せる人生を送りたいです。
さてさて、最後になりましたが、もうひとつだけ。
今コピーライターを目指されている方々に、
コピーライター養成講座をおすすめしたいと思います。
とりわけて上級クラス。
二十数回ある講義のほぼすべてで、
コピーライティングの課題が出るからです。
第1回のコラムでも書きましたが、
コピーは実際に書いてみないと上達しません。
野球のファンだからといって、
ホームランが打てるわけじゃない。
きちんと筋力をつけ、打席に立ち続けることで、
少しずつ球が打てるようになるのだと思います。
4回にも渡りお付き合いいただきまして、
本当にありがとうございました。
再びこのような機会を与えていただけるように、
これからも頑張り続けたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
いやはや、それにしてもひどいドヤ顔だ…
日野原良行(ひのはらよしゆき)
ズームデザイン コピーライター。1988年生まれ。東京都中野区出身。國學院大學文学部日本文学科を卒業後、2012年から現職。映画「ノルウェイの森」コトバの森キャンペーン特別賞、東京スマートドライバー 横断幕メッセージ最優秀賞、第48回宣伝会議賞 協賛企業賞、第50回宣伝会議賞 グランプリなど受賞。宣伝会議 コピーライター養成講座 2009年秋基礎コース、2010年春上級コース修了。
「コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
- 2013年3月 竹田芳幸「ありがとう。大石さんと石田さん(コピーライターになる編)」
- 2013年1月 平野慎也「25歳、新人コピーライターのリアル。」
- 2012年12月 室山加奈子「Webディレクター、コピーを学ぶ」
- 2012年11月 小野勇樹「いちデザイナーが感じる、言葉の大切さ。」
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
- 2012年7月 杉山元規「悩める29歳(1)」
- 2012年6月 栗栖周輔「学歴なし、職歴なしで広告業界に入るには」
- 2012年5月 永友鎬載「僕の失敗(1)」
『コピーライター養成講座』
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。