「通信」カテゴリの苦情の4割が携帯電話の広告
日本広告審査機構(JARO)は5月、2012年度に消費者から寄せられた苦情や問い合わせの受付件数が6年ぶりに増加に転じたと発表した。総受付件数は5169件で、前年度比で12.9%増加している。
苦情の内容を業種別に見ると、最も件数が多いのは携帯電話やソーシャルゲームなどを含む「通信」の分野で286件。そのうち4割を携帯電話の広告が占めており、その数は前年度比で3倍に達した。
5月には高速通信サービスの広告表示で、景品表示法違反にあたるとしてKDDIが消費者庁から措置命令を受けたばかり。JAROの広報担当者によれば、「一昨年(2011年)に最も苦情が多かったカテゴリは、通販を中心とする『小売業』で394件。2012年には通販の広告に対する苦情が減り、『小売業』への苦情は全245件と通信カテゴリを下回る結果となった」。
苦情を媒体別に見ると、2012年は「テレビ」(1247件)、「インターネット」(565件)、「折込」(176件)となっており、「インターネット」は順位こそ変わらないものの、件数ベースでは111件増加。インターネットにおいても、通信カテゴリの広告に対する苦情の増加が目立っているという。
若年層もJAROに苦情、「広告に物申す」流れに
JAROでは2006年度から、オンライン経由でテレビCMに関する意見を投稿できる「テレビCMご意見箱」を設置してきた。2011年度には東日本大震災後に放映されたACジャパンのCMへの意見が増えたことを受け、年間で過去最多となる2321件の意見が「ご意見箱」に寄せられたこともある。寄せられた意見は内容により審議にかけるほか、法律に抵触しないものについては広告主に参考意見としてフィードバックしている。
さらに今年4月からは、テレビCM以外の媒体における広告に対する意見も投稿できるよう、「JAROオンラインご意見箱」として刷新した。4月の実績を見ると、テレビCMへの意見が207件、テレビCM以外の媒体への意見は115件となっている。
「電話・ファクス・郵便で受け付けている通常の相談は40代が中心であるのに対し、オンラインご意見箱の場合は30代が最も多い。20代からの意見もあり、若い年代からの意見が集まりつつある」(広報担当)。
ケースによってにはWEB上の掲示板で「JAROに苦情を言おう」と呼びかけるような動きが出ることもあるといい、SNSなど積極的に意見表明できる場が増えたことで、消費者による広告への“監視の目”も厳しくなりつつある状況が見えてきた。