「経済成長が鈍化している理由、これまでのマーケティングの失敗とは?」
- これまでのマーケティングは、購買力のある世界の20億人のことしか見ておらず、この人たちに向けて商品をつくっており、残り50億人のことを考えていなかった。残り50億人に目を向けることが必要。
- ブラジル、ロシア、中国、インドネシア、トルコなど新興国から新しい多国籍企業が生まれている。先進国の多国籍企業は古い技術の延長にあるが、新興国に生まれた多国籍企業は、歴史がないかわりに最前線から会社がスタートしている。今後、これらの企業が大きな脅威になると理解すべき。
コトラー教授が提唱する「8つの成長戦略」
- マーケット・シェアを築いて成長する。
- コミッテッド・カスタマーやコミッテッド・ステークホルダーを増やして成長する。
- 強力なブランドを築いて成長する。(現在、多くの世界的なブランドがその力を失っている。消費者は、単に“そのブランドを知っている”からという理由で購入しており、そのブランドを購入する、使うことで特別な体験が得られるとは思っていない。ナショナルブランドで特別な体験を得られなければ、低価格のプライベートブランドに消費者が流れていく危険性がある)
- 新製品、新サービス、経験を革新して成長する。
- 国際展開により成長する。
- 合併、買収、アライアンス、ジョイントベンチャーにより成長する。
- 社会的責任の卓越した評判で成長する。
- 政府およびNGOとの提携により成長する。
「8つの成長戦略」は、「コトラー8つの成長戦略―低成長時代に勝ち残る戦略的マーケティング」の書名で嶋口充輝氏、竹村正明氏の監訳により翻訳版も刊行されている。
成熟市場下で企業がとるべき道
続くパネルディスカッション「成熟市場下で企業がとるべき道」では、コトラー教授の講演内容も踏まえ、ネスレ日本の高岡浩三代表取締役社長兼CEOからは「事業モデルでのイノベーション」、ユニ・チャームの高原豪久代表取締役社長執行役員からは「海外進出」という、それぞれの企業の低成長時代に対応した戦略が語られた。