ユニ・チャームの高原氏は「ユニ・チャームは他の日本企業同様、70年代にレジャー産業に参入するなど多角化を図った。今から10年前に、それらの事業を精算。創業者の息子である自分にしか猫の首に鈴をつけるようなことはできないという覚悟で事業の精算を行った。リストラをした結果、創出された人・金・モノを次に投資すべき事業を絞り込んだ」
その後、「生理用品、紙おむつの市場であればグローバル企業と互角に戦えるのでは。世界1位になれるのでは」との考えから、アジア市場への進出を目指す。
「社内では『本業を多角化、専業を国際化』と話している。本業は決してリストラはしない。さらに本業の中でも国境を越えられるだけの技術力のあるものを専業と位置付け、その領域については積極的に海外進出を目指してきた」と話す。さらに、未来の読めない時代だけに「戦略の実行力が差別化要素になる」と話し、「ユニ・チャームに限らず、日本企業はコツコツと真面目に努力する社風がある。その意味で、グローバル企業と戦える実行力を養える可能性があるのでは」と話した。
ネスレ日本の高岡氏は、主に「バリスタ」の戦略について解説。「日本のインスタントコーヒー市場におけるネスカフェのシェアは約7割と圧倒的なポジションを占めている。しかし、インスタントコーヒーの市場自体が成長していない状況。また、日本の消費者の調査をするとレギュラーコーヒーに比べると、よいイメージは持たれていない。プロダクトの改良を進めるだけではこの状況を変えられない。そこでコーヒーマシン『バリスタ』の開発、販売を始めた」とその狙いを話した。
さらに「機械の販売で利益を出そうとは考えていない。『バリスタ』を普及させて、コーヒーの売上を伸ばすことが目的。プロダクト自体のイノベーションではなく、プロダクトを取り巻くビジネスモデルのイノベーションを目指した」とし、「プロダクトではなく事業モデルのイノベーションを考えるべき」としたコトラー教授の講演内容にも触れた。
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