ハイチュウから“自分自身”が商品に
小川:オバマ大統領を筆頭に、海外ではその手の独自コミュニティが盛んですね。日本ではこれからといったところですが、増えて行くと思います。原則オープンなフェイスブックやツイッターに対して、本当に自分を応援してくれて、支援の輪を広げてくれるファンを中心に構成される独自コミュニティは、今後政治の世界でも重宝されそうですね。
政治の現場を見ていますと、限られた時間の中で何に力点を置き、どこまでやるのか。その線引きを多くの政治家が迷っています。
そもそも本来は、ネットだけで完結せず、他のメディアや手段とミックスすることが望まれます。伊藤さんは会社員時代にはCMなどマスメディアを使ったコミュニケーションに注力されてきたと思いますが、それに比べるとSNSはリーチできる範囲が狭いと感じませんか。
伊藤:僕は、SNSこそマスだと思っています。参院選で当選するためは約10万票が必要だと言われています。一方、ハイチュウの売上目標は1億個強でした。
したがって、マーケティングの考え方でいえば、ある程度趣向が細分化する車のような業種が近いのかもしれません。多様な車種の中からいかに“自分”という車種を選んでもらうのか。車種ごとのファンクラブをつくって囲い込むのと感覚的には近い。10万人のファン獲得のために、自分という商品をいかに伝えるか、その方法を探っているところです。
小川:なるほど、面白いですね。100億個の商品をマスを使って売ってきた人が、10万票を獲得するためにネットを使っていかに戦うか。その戦略を考えている、というわけですね。