藤島淳(電通CRプランニング・マネジメント局)
「CHINA DAY 中国日」の文字を挟んで、右手にカンヌのシンボルであるライオン。左手には中国のシンボルである獅子。あしらわれたコピーは「A ROAR FROM THE EAST-東からの咆哮」。カンヌ事務局と中国広告協会の意気込みが伝わってくるセミナーが、6月18日、5時間半の長丁場で行われた。
私は3月末に帰任するまで、上海電通のECDを約5年つとめていた。このセミナーのスピーカーたち、特にクリエーティブ周りの方たちとは旧知の間柄だ。各広告賞では審査委員長を担うクラスの人材が集結している。中国広告界の最前線の論客を集めた陣容を見ても、「China Day」にかける本気度がうかがえる。
11のパートに分かれていたセミナーの中で一番の集客があったのは、やはりトップクリエーターたちの論壇であった。
Graham Fink(Greater China CCO,Ogilvy&Mather)。Lo Sheung Yan(Chairman,Asia Pacific Creative Council,JWT)。Jimmy Lam(Vice Chairman&CCO,DDB Group North China)。そこに1989年生まれという若い女性クリエーターが加わった。中国で80年代、90年代生まれというのは、価値観が従来とはまったく違う。
論壇の主たるテーマは、広告表現のオリジナリティ。「パクリ表現がまだまだ横行する中国で、いかに独自の表現にいきつくか?」。クルマのCMを見せながらの展開になった。結論は、商品と人間の関係を描くこと。当たり前、と言われればそうなのだが、中国はまさにその局面に来ている。
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