O2O、自然認識の有用性を探る「テクノロジーで進化する モバイル端末の活用可能性」

モバイル市場はこれからも伸びる 日本は3G回線先進国

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じょうじ・けんすけ 1998年、放送局入社。テレビ番組制作の現場を3年。2000年から放送とITを連携させた業界初のサービスを複数発表。2008年博報堂DYメディアパートーナーズ入社。マスメディアコンテンツとテクノロジーを連携させた新サービスを多数開発。放送技術と最先端ITの双方を把握する技術者であり企画プロデューサー。カンヌ国際クリエイティブ祭など、国内外の広告アワードの受賞多数。

上路 「龍馬伝」のアプリを制作した際は「どうしたらこのようなアプリがつくれるのか」と海外から数多くの問い合わせを受けました。海外では日本ほど携帯電話の3G回線が安定していないので、外出先でモバイル端末を使って動画を見られることは奇跡的なのです。

モバイル端末の通信量が増えすぎてサーバーにコストがかかりすぎ、定額課金の通信料金ではまかないきれなくなったため従量課金制に戻る、それに伴いフィーチャーフォン回帰の波が起こるという議論もありましたが、私は今後もスマートフォンの普及が進むと考えています。インフラ側や政府がどんどん便利になるように協力しているので、インフラの未整備が原因でモバイルの発達が遅れることはないでしょう。

廣田 ソーシャルメディアのログデータを取ると多くがスマートフォン経由になっているのが分かります。ソーシャルメディアとの連携状況や利用シーンを考えるとフィーチャーフォンよりもスマートフォンのほうがユーザーの行動にマッチしていると思います。

二宮 僕自身、ポケベルからPHS、フィーチャーフォンそしてスマートフォンとあらゆるモバイル端末を利用してきた経験から考えても、ユーザーは不便な状態には戻れないですよね。ユーザーが求める限り、普及は止まらないと思います。3G回線が厳しくなればインフラ側が代替手段を用意します。日本はまだWi−Fi分野にビジネスチャンスが眠っていると思います。

NFC、音声認識、顔認証日常にICタグのある時代

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二宮 モバイルの世界では次々と新しい技術が出て来ていますが、今最も注目しているのはやはりNFCですね。ICタグの軽量化、小型化が実現できているので、スマートフォン×ICタグでユーザーに提供できる体験の可能性は広がると思います。

廣田 NFCは場所データなどの精度が非常に高いですね。ソーシャルメディアの書き込みを分析する際、地域性まで分析できるようになりソーシャルリスニングのあり方が変わるかもしれません。

二宮 そうですね。たとえば韓国では、明洞という街を「NFC Zone」と位置づけ期間限定でNFCを使った実証実験をしています。たとえば、映画館に貼ってある映画のポスターにスマートフォンでタッチする。すると予告動画が流れ、見た後そのままチケットを予約でき、端末がチケットにもなる、というようなさまざまな試みが行われています。韓国はこうした新たなテクノロジーを国家事業として展開しています。世界中でこのようなドラスティックな流れが生まれているのです。

上路 私は、自然認識技術に注目していますね。自然画像、音声認識、顔認証などの技術です。

廣田 私も同じく自然認識技術には興味がありますね。もともと画像や音声を認識させる技術はあったのですが、それを利用者にあまり負担をかけない形でアプリに実装できるまでに精度と速度が上がってきました。利用者の行動を妨げないスムーズな形で認識技術が機能し、メディアとメディアを繋ぐことが求められています。

上路 音声認識をNFC的に使うこともできますよね。NFCが搭載されていない端末でも、アプリを立ち上げた状態で可聴周波数の音を出すものに近づいたとき、キャンペーンサイトやSNSにアクセスするように設定できます。

テクノロジーの発達によって、コンテンツホルダーが手を伸ばせる産業はどんどん広がります。たとえば、「龍馬伝」のアプリの場合、今まではテレビでコンテンツを見て終わりだったところが、現地でしか使えないフォトフレームを提供することにより、フレームを使った人のログを取得できて、何人がコンテンツをきっかけに現地に来たかが数字として分かる。現地に行ったコンバージョンを取ることができるわけです。

産業と産業を結びつけるものがテクノロジーです。テクノロジーのおかげでマスメディアがリーチできる産業の幅が広がったと考えています。

廣田 今まではテレビ番組はフロー型で放映してしまえば終わりでしたが、今はソーシャルメディアなどによってファンのコミュニティをつくることができ、繋ぎとめて365日コミュニケーションできるようになりました。コンテンツホルダーにとってはファンとの関係性を可視化でき、ソリューションの幅が広がります。

二宮 あと、顔認証が普及すると面白いと思いますね。海外の事例で、フェイスブックアプリで自分の顔を事前登録しておくと、店舗に入った瞬間に、クーポン券が配信されるキャンペーンがありました。技術の発展によって、サービスや広告として、ユーザーに提供できる体験も進化すると思います。

≫次ページ「ツールオリエンテッドでなく課題解決できる技術を」ヘ続く


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written by sendenkaigi

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