O2O、自然認識の有用性を探る「テクノロジーで進化する モバイル端末の活用可能性」

どこに気付きを与えるか新たなタイミングを発掘する

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ひろた・しゅうさく 2009年電通入社。プラットフォームビジネス局開発部に所属。ソーシャルリスニングの知見に基づき、コミュニケーション・プランナーとして企業のソーシャルメディア活用コンサルティングから、デジタル領域における戦略策定、キャンペーンプランニング、アプリ制作などのデジタルプロモーション企画を担当。

廣田 ソーシャルリスニングを行ってみても、モバイル経由の書き込みとデスクトップからの書き込みでは内容が異なります。モバイル端末は本人と常に一緒なので、「現地に行く」という「経験」が加わり、関与度が違います。「認知」「興味」に加え、「経験」という価値が加わるのです。

二宮 今までは、企画するイベントの中の1つの体験装置として「リアルいいね!」を提供して、どこか1箇所に集客していましたが、NFC搭載端末が普及すれば、リアルな日常生活の中にICチップが次々埋め込まれ、外に出歩くだけでタッチポイントに出会える。日常生活の中に自然とICタグがある状態が理想ですね。

上路 そう。どこにノーティフィケーションのタイミングをつくるかは非常に重要だと思います。

当社では寝ている間をエンタテインメントできないかと考え、"見たい夢を見させてくれるかもしれないアプリ"「ユメミ~ル」を開発しました。仕組みは簡単で、「森を散歩するユメ」「海へ行くユメ」など8つの夢の中から好きな夢を選び、枕元に置いておくとセンサーでレム睡眠の時間帯を検知し、見たい"ユメ"にちなんだ音声を再生するシンプルなものです。

これを発表したところ、海外を中心とした映画会社から非常に評判がいいです。たとえば、ヒーロー映画のプロモーション時に「ヒーローになれるユメ」という選択肢をつくり、映画のプロモーション音声を流すこともできます。

ここで重要なのは、「見たいユメを設定するタイミングは必ずしも寝る前ではない」ということ。案外ランチタイムなどひとりでスマートフォンをいじっている時間だったりします。「いつひとりになるか」「いつスマートフォンを見るのか」を考え、効果的なリマインドのタイミングを設定することが重要です。

二宮 「セレンディピティ」という言葉がありますが、いかに偶然に出会わせるかが重要ですよね。

廣田 スマートフォンアプリならではの素晴らしいインサイトですね。クライアントから依頼があって制作したアプリなのですか。

上路 実は違います。私たちの部署では、政府やナショナルクライアントからの仕事も多いですが、本能的に面白いと思えるアプリの開発も自発的に行っています。

二宮 プランナーやクリエーターのモチベーション維持のためにも重要ですよね。「リアルいいね!」も、当社のメンバーとパートナー企業である凸版印刷で集まって面白いことをやろうと自由に発想して生まれたものです。

廣田 モチベーションはクリエイティビティに直結しますよね。私たちの部署は社内に技術や知見を蓄積するミッションもあるので、自分たちが面白いと思ったことを資産にしながらクライアントにも活用してもらえたら嬉しいですね。

二宮 ”問答無用にユーザーが面白いと思うもの”をつくることが大切ですよね。どうすると”問答無用に面白いのか”と発想しながら、広告に繋げていく方法を模索したいと思います。

マスメディアとの接点はお茶の間だけじゃない

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上路 以前はメディアとユーザーのコンタクトポイントはリビングだけでしたが、モバイルテクノロジーの進化によって、それがどこまで広がるのか限界を目指したいですね。まだ繋がっていないマーケットは無限にあるので、さまざまなマーケットとマーケットをテクノロジーの力でどんどん繋げていきたいですね。

そして、テクノロジーを司る技術者にとってワクワクする夢のある方向で開発していきたい。技術者がワクワクすると、新しい発想が生まれやすいですから。

廣田 お2人のお話をうかがっていると、「もっと面白いことをどんどん考えよう!」という気持ちでいっぱいになります。ユーザーの痒いところに手が届くアプリを制作していきたいですね。

技術が発達したおかげで、今は何でもすぐにできるようになりました。ワンアイデアがあればすぐにプロトタイプをつくることができます。自分たちが面白いと思ったことをすぐに具現化するフットワークの軽さが大事ですね。

二宮 ユーザーが使うデバイスが変化しつつある時代だからこそ、スマートフォンの可能性を突き詰めていきたいですね。「スマートフォン×○○」によって、OOHやポスター、雑誌など既存のメディアのスマート化が進み、価値が上がる可能性があります。既存メディアはスマートフォンを掛け合わせることによってもっと進化できるはず。それがユーザーとクライアント双方のベネフィットに繋がる新たな広告のかたちを提案し、カタチにしていきたいです

(本文中・敬称略)


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written by sendenkaigi
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