“悪口”は可視化されただけ
小倉:党の選挙戦略会議に出ていますが、話し合われているのはいつも“どぶ板選挙”のこと。驚くほどネット選挙の話が出てきませんね。「小倉くんの選挙カーはいつできるの?」という話ばかり。「ネット配信できる選挙カーをつくるんです!」と意気込んで話しても、「いつ、どこを走るの?」と……。
ネットリテラシーに差がある党全員で取り組むのが難しければ、個々の候補者がそれぞれやっていくしかない。政党本部ではLINEの開設の仕方を説明している裏側で、私の事務所ではLINEで会議をしながら進めています。
24日にはウェブサイトを更新し、「みんなの政策」に投票できる仕組みをつくりました。でも、これも「炎上したらどうするんですか?」と言われていますよ。
小川:何を炎上とするかの解釈、どのような状況にどのように対処するかの方針を持っておくことも重要ですよね。ネガティブなことや、平たく言えば悪口を書かれる程度のことを炎上と言ってしまうと、炎上だらけになってしまいます。むしろ、その中には真摯に聞き入れるべき意見が含まれていることもあります。
小倉:私はむしろ、“炎上さえも歓迎”と思っています。こちらからも言いたいことがあれば反論できますし、それで合意点を得られれば互いにとって最も良い方法でしょう。ところが、悪口を言われるのをすごく嫌がります。
小川:見えていなかっただけで、本当は今までも言われているはずですよね。政治家の皆さんは、街頭演説などの政治活動を通じてたくさんの有権者の方々に向き合ってきています。ですから、さまざまな声をぶつけられることに慣れているはず。ところが、ソーシャルメディア上で“文字”になった途端、ものすごくプレッシャーや恐れを抱く方もいる。「新しい形の声」に慣れていないということなのでしょうね。
小倉:驚くことに、イメージをとても細かく気にされます。たとえば、「ポケットに手を入れて歩くべきじゃない。腕組みして話しちゃいけない」「電車に乗らない方がいいし、電車の中で寝るのはもってのほか」とも言われます。でも、僕自身は聖人君主ではないし、気にするところが間違っているような気がします。中学の生活指導の先生につかまったような気分ですよ。
僕は立ち食いソバが大好きなんですが、それもダメだと言われますよ。
小川:いや、むしろ親近感があっていいですよね(笑)。「◯◯さんが◯◯で◯◯をしていた」というようなことをツイッターなどに勝手に投稿されてしまうことを恐れている政治家の方々も多いですよね。いまは、有権者それぞれがソーシャルメディアで自由に情報発信できる時代ですから。
こういう時代だからこそ、表面的なことではなく、本質が大事だと思います。つまり、しっかりとした政治信条を持ち、それに基づいた政治活動をやっていれば、必要以上にそのことに神経をすり減らさなくてもよいのだと思います。結局は、等身大の自分で、本気で世の中を良くしようと考え、それをしっかり伝えられる政治家が信頼されるはずですから。
【「参院選2013 ネット選挙の戦い方」】
- 「選挙不参加は、300万円の権利をドブに捨てること」小倉淳編(1)
- 「政治家は、みんなの声を国会に届ける“メディア”である」小倉淳編(2)
- 「“炎上さえも歓迎”と思っています」小倉淳編(3)