幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。
講演者:菊池 孝徳 日本たばこ産業(JT) パブリックリレーション部長(写真左)
中田 華寿子 ライフネット生命保険 常務取締役(写真右)
モデレーター:田中 里沙 宣伝会議 取締役編集室長
全員参加でマーケティングを実践
企業と、生活者やステークホルダーとが、ダイレクトにつながるオウンドメディア。その接点としての重要性が増す中で、企業は現在どのような課題に直面し、今後いかに活用していくべきだろうか。ブランディングとコーポレートコミュニケーションにおけるオウンドメディアの役割について、JTパブリックリレーション部長の菊池孝徳氏と、ライフネット生命保険 常務取締役の中田華寿子氏は、自社の事例を交えながら議論を深めた。
たばこのみならず、飲料や加工食品、医薬など様々な事業を手掛けるJTでは、お客様、株主、社会、従業員という4つのターゲットに向けて、それぞれに最適な形でのオウンドメディアを構築しているという。個別の展開と、それらを統合する難しさについて問われると、菊池氏は、「各々の施策に通底する基本姿勢・理念をしっかりと持つことが重要である。我々はコミュニケーションワードである『ひとのときを、想う。JT』に込められたJTブランドが約束する価値を徹底させることでコミュニケーションの一貫性を担保している。」と述べた。
一方、創業から5年のライフネット生命保険では、オウンドメディアやソーシャルメディアなどを用い、経営陣を含む全員参加のマーケティング活動を実践。「企業ブランドを伝えるマス広告と、生命保険に限らず様々な話題を取り上げて、メインターゲット層である20、30代ユーザーの興味を引きつけるオウンドメディアや、従業員の顔が見えるソーシャルメディアとを掛け合わせ、マーケティング効果を最大化しながら認知度を上げてきた」(中田氏)。創業当初の1日あたりの申し込み件数は20件未満だったが、現在では250~400件にまで伸び、契約件数は18万件に達するという。
成功を導く3つのポイント
菊池氏は、これまでの経験を踏まえ、企業がコミュニケーション活動を行っていく上でのポイントを3つ挙げた。「1つ目は、世の中の動きを察知し、メディアを使い分けできる目利きとなること。2つ目は、複雑そうなこともあえてシンプルに考えてみること。3つ目は、お客様からの共感の獲得を常に意識すること」という。これを受けて中田氏も、「取り繕った情報で共感は得られない。お客さまが求めている形で、正直に情報を発信していくことがオウンドメディアでは大事。それが、信頼や共感につながるはず」と、聴講者らに向けてアドバイスした。
「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。
共感の獲得
菊池 孝徳(日本たばこ産業)
「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。
・正直であること
・顔が見えること
・体温が感じられること
中田 華寿子(ライフネット生命保険)