幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。
講演者:廣田 周作(電通 プラットフォーム・ビジネス局 開発部 コミュニケーション・プランナー)
ファン中心の口コミ構造に
ソーシャルメディアが浸透し、これまでの「広告で人を連れてくる=リーチ主導型」の考え方に加えて、「自社のファンを見つけ出し、ファン自らのブランドに関する体験やストーリーを共有する=エンゲージメント主導型」の考え方も大切になっている。
では、自社のファンはどこにいるのか。廣田氏がさまざまなコミュニケーション施策の結果を、ツイッター上の口コミを対象に可視化し分析したところ、ソーシャルメディア上では、意外にも、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる人たちが口コミの話題全体に与える影響は、限定的であるということが分かったという。ほとんどの場合、口コミは小さなグループ単位で起こっている。
「ソーシャルメディアでは、企業やブランドに対して愛着を持っている“濃いファン”のグループを見つけて分析し、彼(彼女)たちが喜ぶことを行うのが良い方法だと考えています。ファンを中心にした情報発信や施策を行うことで、話題が共有されたり、拡散されやすい構造になります」と廣田氏は話す。
マーケティングは180度変わる
変化する企業コミュニケーションの現状説明に続き廣田氏は、フェイスブックページ開設に携わった、テレビ新広島の生活情報番組『ひろしま満点ママ!!』の事例紹介を通じ「SHARED VISION(シェアードヴィジョン)」という新しい考え方を提示した。
テレビは、番組を制作する番組スタッフと、一般視聴者とは、当然ながら明確に分かれている。しかし、「送り手」も、「視聴者」もどちらも広島のことを大切に思っているという意味では一緒だ。では、「送り手」「視聴者」という立場を超えて、何か一緒に地域のためにすることができないだろうか?
「シェアードヴィジョン」とは、「皆で創りたいこと」「皆で創る理想の姿」の意味。企業と生活者が未来のイメージを共有し、円滑なコミュニケーションを図っていくためにはどのようにすべきか、事例などをもとに紹介していく。
定価:¥ 1,680円 発売日:2013/6/4