企業の論理だけでつくられたメッセージは通用しない――電通

そういった観点から、『ひろしま満点ママ!!』では、フェイスブックページの内容を考える前に、より番組を盛り上げるためにはどうしたら良いかを番組の制作スタッフで話し合った。そして「地域の人たちとのつながりを大切にして、テレビ新広島を少しでも身近に感じてもらう」というミッションを再確認したという。

この考えがもとになり、広島を「体験」「発見」する新しい旅番組のあり方を、『ひろしま満点ママ!!』スタッフが自ら企画することになった。従来、テレビの旅番組と言えば、タレントやスタッフが旅をして、その過程をまとめるのが一般的だったが、『ひろしま満点ママ!!』では、スタッフ主催のバスツアーを企画し、スタッフが視聴者と一緒に旅を楽しみながら、一緒に広島のいい所を再発見する、ということにチャレンジをした。

番組の一部に視聴者が出演者として登場するというライトな「参加型」の番組ではなく、番組を一緒に作りだす、「協創型」の番組である。スタッフは視聴者とともに過ごしながらきずなを深め、バスツアーでの様子を番組フェイスブックページに投稿し、同時に話題も拡散させた。スタッフも、いつも見てくれている視聴者に実際に触れ合い、意見を交換することで、「番組を作る手ごたえ」を実感したという。

バスツアーなどフェイスブックを発端にさまざまな取り組みを行った結果、『ひろしま満点ママ!!』の視聴率は2000年に番組が始まって以来、過去最高の月間視聴率を記録しているという。「企業の論理だけでつくられたメッセージではなく、生活者とともに共有できるビジョン(=SHARED VISION)を持つことが企業と生活者のコミュニケーションでは重要です」と廣田氏は強調する。

 ■廣田氏とテレビ新広島のソーシャルプロジェクトのリーダー・永岡弘恵氏の対談記事はこちらへ

これからはビジョンにもとづいて、生活者、経営者、社員がいっしょに“コト”を創り出していくことが大切だという。廣田氏は「ソーシャルメディアの浸透によって、送り手中心の考え方から、受け手=発信者中心の考え方へ、物事の見方が180度変化している。マーケティングの世界で、コペルニクス的転回が起きているのだと思います」と結んだ。


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 ■電通×J-WAVE、雨が降ると開始する放送連動型O2Oサービスを開発



「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。


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