特別感×手軽さのバランスで若年層の支持を獲得――キリンビール

宣伝会議は、6月5日に東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、「宣伝会議インターネットフォーラム2013」を開催しました。WEB・デジタルテクノロジーの発展と、それに伴って大きく変わりつつあるメディア環境や消費者行動をとらえ、企業コミュニケーションの未来と、そこでのデジタルの活用可能性を探る同イベント。今回の来場者数は、前回の2591人を大きく上回る3521人にのぼりました。
幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。

講演者:山口洋平(キリンビール マーケティング部 商品開発研究所 新商品開発グループ)

キリンビールは、昨年6月からスペシャリティ・プレミアムビール「グランドキリン」をセブン-イレブン限定で先行販売している。限定したチャネルで販売する同商品は、「既存市場にはない高付加価値型ビール」をミッションに掲げ開発されたもの。これまでになかった商品であることと、発売前からWEBを中心に行ったPR・プロモーションが奏功し、昨年の販売目標は、発売当初の8万ケース(約350万本)から、5カ月後の11月には16万ケースへと2倍の数値に上方修正された。

こだわり自体がPR情報に

グランドキリンは、これまでのビールとは一線を画す嗜好性と特別感のあるスペシャリティ・プレミアムビールとして開発された。味はさることながら、容器やラベルデザインに対してもスペシャリストたちの思いを結集。その一方で、チャネルを限定していることもあり、メガブランドのような広告展開は難しい。そこでWEBを中心にしたPRやプロモーションを展開していった。

PRでは、メディアに共感してもらえるような情報を考え、開発技術者の夢や、徹底したこだわりを伝えた。実際に「キリンの本気!」と、そのこだわりを軸にメディアに多く取り上げられ、発売前から話題を高めることに成功した。

“制限”から生まれた新たな仕組み

また、プロモーションはスペシャリティ・プレミアムビールであることと、チャネルが限定されていることを活かし、店頭と連動した企画として、バーチャルとリアルをつないだ「BEER to friends」を展開した。フェイスブック、ツイッターの友人にメッセージとともにグランドキリンをプレゼントできるというもの。受け取った側は、届いたギフトチケットをセブン-イレブンで提示することで、商品と引き換えることができる。

「プレミアムビールといえばギフト需要が高い。お中元など宅配便で送付することも多く、堅苦しいイメージあるためか、若年層からは敬遠されていた。一方、BEER to friendsはグランドキリンを1本から贈れるようにし、受け取り場所も販売チャネルのセブン-イレブンであるため、24時間いつでも引き換え可能。手軽に贈れるギフトに特化し、多くの方に好評いただいている」(山口氏)。ソーシャルメディアとの連携で、グランドキリンのギフトを受け取った当人以外にもBEER to friendsの情報が波及。無料キャンペーンとEコマース合わせて、これまでに150万人が利用し、2000万人に情報がリーチしたという。

「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。


宣伝会議 インターネットフォーラム事務局 2013
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