幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。
講演者:香山貴秀(ベネッセコーポレーション 教育事業本部 デジタルマーケティング部 幼児・小学生営業課 課長)
ベネッセコーポレーション(ベネッセ)は、自社の商品・サービスをWEBやDMで告知し、自社サイトでの申し込みを促してきた。ところが近年、DMの開封率の低下が課題の一つに。紙媒体に対する人々の関心が低下していることに加え、一人ひとりのターゲットに適した情報を配信できていないことも原因の一つとなっていた。
そこで同社が発信する情報と、顧客が求める情報のマッチングを図るために打ち出した施策のひとつが、メールマガジン「はぴらべ Happy Life with Baby」だ。子どもが生後6カ月になるまで毎週配信され、心身の発達やイベントのことなど、成長段階に合った育児情報を提供している。
「はぴらべ」を通して継続的な信頼関係を築けば、DMの開封率が上がり、ひいてはWEBを介した通信教育サービス「こどもちゃれんじbaby」の入会率も上がる。そう考え、「はぴらべ」では、同サービスのコンテンツの一部を、顧客ごとにカスタマイズして配信。そうすることで、ベネッセに対する信頼・親しみや、同サービスの認知度を確実に高めていった。
こうした取り組みの結果、同社の調査によると、「『はぴらべ』購読がDM閲覧のきっかけとなった」と答える人が67%を占めた。さらに、「はぴらべ」購読者のうち41%がサービスに「入会したい」と回答し、入会率も未購読者と比較して3%高いことが明らかになった。
「オフラインでの『気づき→行動』を促すために、オンラインで多くの共感を創出する。人の購買心理・行動を考えた上でどのようなプロモーションをすれば良いのか。重要なのは一つの施策のROIよりも、一人の顧客のLTV」と香山氏。産婦人科医院などのリアルな場(オフライン)と、自社商品・サービスを紹介するDM(オフライン)を、「はぴらべ」(オンライン)でつなぐO2Oの流れ、そして顧客接点のストーリーを作ることで、ターゲットとのエンゲージメントを高め、効果的に購買行動へとつなげることに成功している。
「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。
顧客志向の徹底
香山貴秀(ベネッセコーポレーション)