日本流“カイゼン”の文化とデジタルマーケティングの親和性
しかしデジタルマーケティング先進国、米国の企業であるアドビが掲げる理想像は、日本の企業環境には適合しないのでは、という疑問もわいてくる。これに対し、アドビ マーケティング本部の中東孝夫氏は「確かに『あらゆる接点を統合する、全てを統合した…』と言われると、強大な権限を持つCMOが不在の日本企業では実現は難しいと思われるかもしれないが、この問題は各部門共通のメトリクスを作り、すべてにおいてデータを基に判断と行動する社内風土をつくることで解決につながる」と答える。
特に複数の製品群を個別の事業部や部門が独立して管理しているような大手企業の場合、データ解析および最適化促進の専門チームを設置することが変革のトリガーだ。こうした部門横断的な組織が全製品、全顧客チャネルのマーケティング活動に関わるデータを集約して一手に解析と最適化を担当する。
その結果、部門横断の共通言語としてデータで説明できる環境と、データからのインサイトに基づく最適化を検証する体制が整うため、マーケティング成果の可視化と拡大を確実に実現することができる。これによりマーケティング部門がビジネスに与えるインパクトを、経営層に対してより明確にすることにつながっていくのだという。
実際、今回のサミットに登壇した楽天、千趣会などの企業でも、同様のアプローチでデータを基に判断する社内体制を構築したケースが発表され、日本企業でも組織改革も含めた取り組みが進んでいる様子がうかがえた。
また中東氏は「もともと日本の企業は合議しながら集合知を蓄積し、最適解に辿りつくのが得意。さらに製造業においては、JAPANクオリティのものづくりを支える、問題点を一つずつ解決し、改善を続けていく文化がある。
なぜかマーケティング部門にだけ、その文化が応用されてこなかったが、本来この2つの文化は、マーケティングのPDCAを回していく上で大きな力になる。日本企業にこのような体制ができれば、必ずや可視化と改善を積極的に回していけるはずだ。
つまりは海外の様にCMOによるトップダウンだけを期待するより、現場からのボトムアップとしてPDCAを回す体制、たとえば他部門との課長会や部長会などで報告する機会を作るなどが近道ではないか」と話す。
マーケティングの在り方を変える、デジタルという大きな波
「デジタルマーケティング」への危機感と期待感は高い。ただし単に新たな広告メディアの一つとして捉えたり、表現手法に目を奪われてはならない。「オンラインマーケティング」から「デジタルマーケティング」へという潮流には、単に呼び方の差異以上の重要な意義が含まれている。デジタルの活用を「既存のマーケティング手法の変革」と「経営にインパクトを与えるマーケティングへの昇華」の機会と捉え、改革を進めるべきだ。
「データとテクノロジーを使いマーケティングは変革できる。また企業はマーケティングにもっと期待し、マーケティング部門は経営層からの期待を獲得すべきだ。改めてマーケターは何をもって自社に貢献するのか、自分たちの役割を再定義し、共通言語によるコミュニケーションで、このチャンスを最大限生かすことができるはず」と井上氏は結んだ。
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