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「一生懸命」聞く――阿川佐和子さん講演

週刊文春の対談ページは1993年に始まり、かれこれ20年になります。当初この連載を受け持つことになり、どんなインタビューをすればいいのかと悩みました。当時は、相手が嫌がるようなことにも鋭く突っ込むのが優秀なインタビュアーだと思っていました。対談の前任者がデーブ・スペクターさんだったこともあり、それがプレッシャーだったのです。

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そこで「あのような鋭い突っ込みはできません」と編集長に直訴しました。すると編集長は「アガワさんらしい対談にしてくれればそれでいいですよ」とおっしゃるのです。

連載を始める少し前に城山三郎さんにインタビューをしたときのことです。ご著書について「とても面白かった」と感想を述べると、城山さんはニッコリ笑って「どこが?」「あとは?」と逆に私に質問したり、けらけら笑ったり、相づちを打ったりする。結局、私ばかりがしゃべってしまい、インタビューが終了。後で「アガワさんが一人でしゃべっていましたね」と編集長に怒られました。なぜ、自分があんなにしゃべってしまったのかと考えると、それは城山さんが聞き上手だったから、ということに気がついたのです。

知識も教養も経験もない私が、自分らしいインタビューをするとしたら、一生懸命聞くしかありません。その人が話したいと思っていることに添って話を聞けば、変な質問をしてしまってもうまく話が聞けたりするものです。(談)

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