問題は、ユーザーがその商品を知らず、説明が難しい場合です。無理にブランドストーリーを作っても、広告だと思われてシェアされず、逆効果になってしまいます。まずは「キモいSNS投稿の特徴」といった、商品からは一見遠くてもユーザーにとって身近なコンテンツを提供しないと、そもそも見てもらえず話が始まりません。
上の図のように一つの記事の中で、商品情報とコンテンツを住み分けできれば、ユーザーも安心してコンテンツを楽しめ、シェアしてもらいやすくなります。例えば「大阪の虎ガラのオバチャン」は、映画に登場する「虎」と関係が無いことは明白です。商品を“褒める”のではなく、虎をキーワードにパロディを作るように、商品を“いじる”方が、コンテンツとして見られやすくなります。
例えばテレビでは、視聴者に番組を提供する代わりにCMを見てもらっています。ネットでも同じように、できるだけ純粋にコンテンツを楽しんでもらう代わりに、広告をシェアしてもらえないかと思っています。具体的には、記事を読んだ方が「広告だけど、面白いから共有する」と言ってくれることを目指しています。
そこまでするなら、「広告を省いたコンテンツを作った方が早いのではないか」と言う方もいると思いますが、その場合、NHKのように、制作費を視聴者からの受信料として集金する必要が出てきます。あくまでユーザーには無料で、制作費をかけたコンテンツを楽しんでもらう方法を探しています。
また、記事広告をなんでも「ステマ」だと言う方もいます。以前公開した記事にも「ステマする気がないステマ」とコメントしている人がいて思わず吹き出しました。ステマとは、宣伝であると気づかれないように隠れて宣伝をすることですが、そんな面倒なことをするよりも、明らかに広告だとわかる構成にしてコンテンツを作った方がよっぽど楽だし、安全です。
また、「単に面白ければ良いのか?」と、効果に結びつくのか疑問に思う方もいると思います。そもそも私が毎回クライアントに、記事のPVと商品サイトへの誘導数を報告しているので、「記事は面白かったけれど、結果はでませんでした」と言うわけにもいきません。
幸いなことに、上の図で描いた「従来の記事広告」のスタイルに比べて、当社比で5~25倍の結果がここ3年で出ています。そのため、新しい企画に継続的に取り組めています。特に「大阪の虎ガラのオバチャン」の記事は映画サイトへの誘導数が極めて多かったです。
ただ、このような広告コンテンツは作るのに手間と制作費がかかるので、それらを減らす工夫が必要になります。これについては次回の記事でご紹介したいと思います。
また前回、スマホ時代は“小さいコンテンツ”が見られるので、読者が写真をパラパラ見るだけで内容がわかるようにすると書きましたが、「チープすぎるのでは?」というコメントもありましたので、補足で説明いたします。
前回言いたかったのは、小さいコンテンツを作るのが目的なのではなく、小さくても広くリーチできる方法を探すということです。例えば6秒動画を共有するアプリ「Vine」では、短い秒数でも様々な表現が溢れ、話題になったコンテンツは広く共有されています。
映画館しかない時代に広くリーチするには、より多くの人を集めるため、ある程度大きなコンテンツが求められましたが、テレビが登場すると、(映画の映像に比べれば、チープと思えるような)より小さなコンテンツでも家庭に届けられるようになり、ネットが出来るとさらに、より小さなコンテンツでも、面白ければシェアされて、より広くリーチできるようになりました。