従来発想から脱け出せ――塩越隆雄氏(全広連青森大会組織委員会会長、東奥日報社代表取締役社長・主筆)

広告の力を再認識

一方で、観光産業は転機を迎えていると言っていいでしょう。県内でも十和田湖などはかなり苦戦しています。新幹線がもたらした効果も、現時点では限定的と言わざるを得ません。

確信を持って言えるのは、観光のあり方が大きく変わったということです。端的には「団体」から「個人」への流れです。いま青森では、バスで移動するような団体客を見かけることがすっかり減りました。団塊の世代でも、個人でスニーカーを履いて歩いています。こうした傾向は震災がひとつの転機になったと考えています。

従来の青森の観光は団体型で、現状では個人客にうまく対応できていません。ここにも発想の転換が求められています。

もっとも、十和田湖も八甲田山も白神山地も、自然がふんだんに残っています。手付かずの自然が価値を生むときが来るはずです。周回遅れがトップに立つ可能性も十分にあります。

東日本大震災を経験してあらためて気付かされたのが、広告の重要性です。ビジネスや文化の側面で語られがちですが、私は広告は社会の重要なインフラだと実感しました。復旧の過程で、被災地には広告によりたくさんの生活情報が送り込まれ、困難な生活を支えるライフラインの役目を果たしました。被災地の復興に広告が果たす役割は大きいと確信しています。(談)

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全日本広告連盟
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