7月18日、国立代々木競技場第二体育館にて、三宅一生氏が企画した「青森大学男子新体操部」と題した公演が開催された。出演したのは、タイトル通り青森大学新体操部の27人の選手だ。
男子新体操は日本発祥で、世界に例がない競技。スティック、リング、ロープ、クラブを用いた個人競技と6人で行う団体競技がある。バック転や宙返り(タンブリング)とスピード感あふれる動きを組み合わせた、美しい演技が特徴である。そのパイオニア的な存在として知られるのが、青森大学新体操部だ。同部は全日本学生新体操選手権11連覇、全日本新体操選手権でも4年連続9度目の優勝をするなど、日本のトップクラスのチームでもある。
しかし、競技人口は全国で1500人と少なく、2008年を最後に国体の種目から外されている。以前に青森山田高校の男子新体操部がカルピスソーダのCMに出演し話題を集めたり、卒業後、シルク・ドゥ・ソレイユに参加したメンバーや卒業生によるユニット「BLUE TOKYO」も結成されているが、男子新体操そのものの一般の認知はまだ低い。また、プロとして活躍する場も限られているのが現状だ。
公演開催のきっかけは、デザイナー 三宅一生氏がテレビの報道番組で偶然彼らの存在を知ったこと。演技に感動し、この素晴らしい演技が青森という地で育まれていることに興味を持った三宅氏は「何かの形で応援ができないか」と考え、青森大学にコンタクトを取り、同部ヘッドコーチの中田吉光氏に今年3月会ったという。
そして、青森という地で練習を続ける彼らの存在、ひいては男子新体操という競技の素晴らしさを世の中に広く知らしめるべく、ダンス・パフォーマンス界で国際的に活躍するダニエル・エズラロウ氏をクリエイション、ディレクション、コレオグラフィに招き、その他さまざまなクリエイターの協力を得てこの日の公演を企画したのである。
「連絡をいただいた当初は驚きましたが、一生さんに初めてお会いしたときに、服に対する熱い思いを語ってくださり、自分の体操に対する思いと相通じるものを感じました」(中田吉光氏)。