朝火英樹(ソフトバンクモバイル マーケティング・コミュニケーション本部 Webコミュニケーション部 担当部長)
はじめまして。ソフトバンクモバイル 朝火英樹(あさひひでき)です。
Webコミュニケーションを軸にしたマーケティングコミュニケーションを担当しています。
昨今は、特にデジタル系のマーケティング技術の進化が早く、次々と新しい手法が登場しています。でも、考え方によっては原点回帰と見ることもできます。これから最近よく聞くキーワードをわかりやすく紹介していきたいと思いますのでよろしくお願いします。初回は「広告効果測定」全般についてお話したいと思います。
広告効果測定ツール
「広告効果測定ツール」は、マーケティング・コミュニケーション施策の実施効果を可視化し、目的および仮説を検証するツールです。これによって各施策の成果や課題を可視化することでPDCAの推進が可能となります。
昨今、マーケティング担当者は、施策の実施目的・成果に対する説明責任が今まで以上に求められる時代であり、費用に対する成果の費用対効果などを算出して説明する機会が増えています。
広告効果測定においては、アドテクノロジーの進化でこれまで可視化しにくかったデータが可視化できる状況になっています。
特にWebに関しては、広告をクリックしてページに遷移して、そのまま申し込みを行った直接効果を中心にこれまで効果検証していましたが、最近は広告をクリックしてページに遷移したけれどその時点では申し込みをせずに一度離脱し、後日再来訪してからの申し込み(ポストクリックコンバージョン)や、広告に接触したけれどクリックしなかったユーザーが別の機会に申し込みをおこなう(ポストインプレッションコンバージョン)などの間接効果を可視化して広告効果を検証する手法も広まりつつあります。
ただし、広告効果測定ツールを導入しても、目的を曖昧にしてツールを活用すると、膨大なデータだけを眺めることになってしまい、新たな発見が期待できないため、事前の目的の設定やプランニングが重要なのです。
広告効果測定はこれまで代理店などに施策の実施結果レポートを依頼していました。それは、調査を含めて広告効果を測るデータが社外にしかなかったからです。広告主の自社サイトを中心としたWebマーケティング・コミュニケーション施策においては、データは広告主の自社サイトのログとして蓄積されます。広告効果のデータを保有しているのは広告主です。
広告効果測定の分析やレポートを外部に委託することもできますが、基となるデータは広告主の自社サイトに蓄積されているということを認識して推進する必要があります。
ここで重要なのはツールではなくパートナーの存在。パートナーは代理店でもツールベンダでもかまいませんが、広告主の目的を共有し、支援してくれるパートナーの存在が非常に重要なのです。
今後、広告効果測定はさらに高度になっていくでしょう。ソーシャルメディアや動画サイトなどを含め、ユーザーはPCやモバイル(スマートフォン)など複数のデバイスを用途によって使いこなし、接触するメディアが増えています。
Webをはじめとするデジタルメディアとマス広告(テレビ、新聞、雑誌、交通広告など)との広告効果に関する関与度・相関性の可視化についても検証が進んでいます。マーケティング担当者は施策の目的・ゴールを明確にしたうえで、顧客の態度変容のシナリオ作り/仮説を立て、その検証として「広告効果測定ツール」を活用する必要があるのです。