現在Kiip社はデジタルガレージの子会社であるCGMマーケティングと日本国内における独占販売代理権を締結しており、日本でのビジネス拡大を目指す意向。来日したBrian氏に「Kiip」の独自性、また日本での戦略について話を聞いた。
ゲームをはじめとしたアプリの起動中にゲームのステージをクリアする、ハイスコアを出すなどアプリ側で規定した目標値に到達した際、クーポンやサンプル、プレミアムコンテンツなどの広告を配信する「アチーブメント広告」。Kiip社は、この「アチーブメント広告配信」プラットフォームを運営している。
――Kiipの独自性はどこにあるのか?
ユーザーが目標値に到達した際、達成感や幸福感が芽生える。この「アチーブモーメント」をネットワーク化したのがKiipだ。ユーザーはいつも通りアプリを使うだけ。クーポンが配信されることを知らないから、驚きと喜びがある。クーポンを目的に行動をさせるのではないところに、Kiipならではの独自性がある。現在、世界で1000以上のアプリがKiipを採用している。その内、ゲームが約400。それ以外はタスク管理や料理などで、この領域での連携アプリをさらに増やしていきたい。
――広告はどのように配信されるのか?
ユーザーに配信する広告・特典は物理的なものとバーチャルなものの2種類がある。前者が割引やサンプリングのクーポンで、後者はデジタルコンテンツなどをその場で配信している。ユーザーはアチーブメント広告が配信された際、受け取るか否かを判断して、受け取る場合にメールアドレスなどの入力をすることになる。
広告コストはユーザーがクーポンを受け取った際に発生するパーエンゲージメント単位で算出しており、米国では1エンゲージメントあたりの価格が30セントから3ドルくらいと幅がある。日本だと1エンゲージメントあたり、200円~250円程度になると思う。
――日本での導入実績は?
今年2月、ローソンとマルチメディア端末「Loppi」を活用したO2O施策を実施した。同社の商品の無料クーポンをアチーブメント広告として配信。取得したユーザーは、ローソン店内に設置された「Loppi」と自分のスマホを使い、店頭で利用できるクーポン券に引き換えることができるというものだ。7月には「Yahoo!JAPANアプリ」のプロモーションにも導入された。国別セッションを見ても、日本からのトラフィックが増えており現在、月間で約1100万の月間ユニークデバイス数に達する。
特に日本ではO2Oに対する関心の高さを強く感じるので、流通企業での利用に期待を寄せている。ローソンの白井明子さん(取材前日に、スマートフォン時代のO2OビジネスをテーマにしたセミナーにBrian Wong 氏と共に登壇)は、同じようにクーポン配信に活用したLINEと比較して「LINEはマス・リーチに優れているし、Kiipはターゲティング機能、さらにユーザーとの1対1のコミュニケーションに強みがある」と、その特性を解説してくれた。日本の企業の利用も促進していければと考えている。