各地の広告協会から地域を元気に【3】(神戸~沖縄)

広告界の業界団体である公益社団法人全日本広告連盟(全広連)が今年10月、創立60周年を迎えるに当たり、記念大会が5月に青森で開かれました。この企画は全広連と来春60周年を迎える宣伝会議とのコラボレーションの一環で、青森大会のレポートや地域ごとの取り組みを紹介します。

全日本広告連盟は全国37の地域広告協会で構成されます。広告協会は広告主、広告業、媒体社ら地域広告界の主要構成員が会員となり、広告賞ほか顕彰制度や懇親など、それぞれ地域に根ざした活動を展開しています。全37の広告協会のいまの取り組みや、地域経済・広告界の動きを紹介します。

【神戸】六甲山を再び元気に

明治時代、神戸港開港で居住するようになった外国人がレクリエーションの場として開発した六甲山。近年、保養所などの衰退で元気が薄れていたその身近なスポットを、活性化させる取り組みが相次いでいる。

そうした動きを地元の神戸新聞社が中心になって応援する事業が、このたび全広連の鈴木三郎助大賞選考委員会特別賞を受けた「六甲山大学プロジェクト」。多彩な取り組みをカリキュラムに見立てて発信した。2017年の神戸招致を目指す全広連大会でも、六甲の魅力を再発見してもらえるツアーを企画したい。(神戸広告協会)

神戸

参加者でにぎわう六甲山の山歩きイベント

【島根】作品の質が向上した島根広告賞

島根県内のトピックは、5月10日に営まれた出雲大社の本殿遷座祭。2008年に始まった平成の大遷宮の最も重要な祭事。直前まで降り続いていた雨は上がり、境内を埋めた約1万2000人の参列者が、祭神・大国主命の「よみがえり」を見守った。

前回の遷宮で1953年5月10日に行われて以来、ちょうど60年ぶり。千家宮司の祝詞、勅使の祭文奏上、巫女舞などを経て、祭事は約2時間半で終わった。

協会の取り組みとしては、毎年開催の「島根広告賞」が最大の事業。昨年度の37回目から部門を11部門から8部門に再編成。3年前の応募総数148点から209点と飛躍的に増加している。審査委員長の電通関西支社の辻中達也氏からも、応募数の増加と合わせ、作品の質も向上しているとの評価をいただいた。(島根広告協会)

【岡山】地理条件に恵まれ産業の芽育つ

高速道が東西南北に通り中四国の結節点である岡山県。地の利を生かした県勢拡大は自治体や地元財界にとって以前からの大テーマ。岡山県は降水量1ミリ未満の日が全国でもっとも多い「晴れの国」を売り込む。災害の少なさもそれを後押しする好条件だ。東日本大震災の被災者を含め、岡山県内への移住者が多いのも最近の特徴だ。

工事が進むJR岡山駅前の流通大手イオンモールの大型SC(2014年11月開業予定)。売り場面積約8.8万平方メートル。同社では西日本最大級の大型店。既存の商業施設が巨艦店舗をどう迎えるのか、注目されている。

岡山県の産業界活性化につながるほかの動きでは、倉敷市に航空機部材メーカー日本エアロフォージの本社工場が完成、三菱自動車水島製作所では日産自動車と共同開発した新型軽自動車の生産も始まった。(岡山広告協会)

【広島】「瀬戸内」ブランド化

広島広告協会では、広告業界の活性化を図るため、広告関連5部門14部で「広島広告企画制作賞」を贈賞している。34回の今年、応募総数は180点で、6月の総会で、金銀賞合わせ、27作品に授与した。尾道、宮島、雲南などの「地域」と、「つなぐ」「結ぶ」「一緒に」といった人の「つながり」をテーマとする作品が目立った。

一方この4月、瀬戸内海に面する広島県など7県が、瀬戸内ブランド推進連合を設立した。瀬戸内に観光客を取り込み、魅力を国内外に発信して「瀬戸内ブランド」の確立を目指す。新たな広域連携=「地域のつながり」に、期待がかけられている。(広島広告協会)

【徳島】夏のクライマックス 各地で「阿波踊り」

今年も徳島の熱い夏を彩る「阿波踊り」が県下各地で始まります。

徳島市の阿波踊りは例年通り8月12日から15日の4日間開催されます。昨年は悪天候にも関わらず4日間の人出は122万人でした。

同市観光協会の今年度PR用ポスターのキャッチコピーは「日本の夏のてっぺんへ!」。青みを帯びた夕暮れの街明かりを背景に、しなやかに女踊りを舞う踊り子が印象的なデザインです。全国に広がった阿波踊りの本場であり、夏祭りのクライマックスでもあることをアピールしています。(徳島広告協会)

徳島

【香川】アートの祭典開く

今年、香川で最大のイベントは、現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2013」。春、夏、秋の3期に分け、「海の復権」をテーマに、島の歴史や風土に溶け込んだ作品を展示、瀬戸内の魅力を国内外に発信する。春会期の来場者数は約26万人で当初見込みの約2倍を達成、経済効果も各方面に広がった。

また、協会としては春と秋に、会員や一般の方を対象にセミナーを開催、広告業界の情報などを県下に発信している。今春は、講師に電通関西支社の佐藤仁クリエーティブ局次長を招き、WebやSNSと連動した広告コミュニケーションの新しい流れについて学んだ。(香川広告協会)

【愛媛】国際自転車イベント実現に向け一歩

今治青年会議所は4月16日、海峡をまたぐ、しまなみ海道の自転車専用レーンを使用した国際サイクリングイベントを実現すべくパネル討論会を開いた。中村時広愛媛県知事ら市民500人が参加。ディスカッションには地元プロライダーや台湾の自転車メーカーの日本支社長らも加わった。

一方、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が建設を進めていた世界最大の「地下備蓄基地」が今治市波方町に完成した。国内消費量の13日分(45万トン)を収容できる。国内では初めての地下水圧でガスを閉じ込める方式を採用している。(愛媛広告協会)

【高知】キャンペーンで県民性訴求

高知県が、県の知名度アップを図る新しいキャンペーン「高知家(こうちけ)」を始めた。県民性を前面に出し、本県を「家」として設定。親近感を抱いてもらい、観光や移住、県産品の販売などのさまざまな面で認知度を高めていくことを目指している。

特設サイトのプロモーションビデオでは、広末涼子さんが出演し「高知県はひとつの大家族やき」とアピール。「暑苦しいほどに温かい」「飲んだら誰とでも仲良くなれる」などと県民性を解説している。(高知広告協会)

【福岡】通販企業などが好調を維持

九州の産業界において中心的存在である九州電力の広報活動自粛が続いており、広告業界としてはその復活が望まれています。

一方、広告活動が活発な業種として通販を主とする企業の伸びが感じられます。2年前に開業したJR博多シティも好調。広告制作では福岡発の作品が国内外で大きな賞を獲得するなど、地元制作者の励みになっています。

福岡広告協会は昨年、全広連福岡大会を開催。今年は広告セミナー開催などに力を注ぎます。(福岡広告協会)

【佐賀】医療ルネッサンス元年迎える

佐賀県内は今年「医療ルネッサンス元年」を迎える。そのひとつは「佐賀県医療センター好生館」の完成(5月)、さらに鳥栖市に重粒子線がん治療施設「九州国際重粒子線がん治療センター」(5月)が開設された。前者は150年を超える歴史を重ねつつ、最新の医療を必要な人すべてに提供する理念のもと県内の医療拠点として、後者は重粒子線がん治療の西日本の拠点への期待が寄せられている。

「だれもが健康に暮らすことのできる佐賀県」の実現に向け、当協会もそれぞれの立場から積極的な情報発信に努めたい。(佐賀広告協会)

【長崎】駅周辺が大きく変わる兆し

長崎では、このたび2022年の九州新幹線西九州ルート開設が正式決定しました。長崎駅の改築や長崎県庁の移設、会議場施設の新設など、長崎の玄関口が大きく変わる兆しを感じます。

また、世界新三大夜景にモナコ・香港と並んで長崎が選ばれ、あらためて長崎の魅力が認められました。

当協会では、全広連青森大会でもご登壇された資生堂のズナイデン房子さんの講演会を本年2月に実施しました。長崎ご出身というご縁もあり、多数の聴講をいただく、記念すべき事業となりました。(長崎広告協会)

長崎

資生堂・ズナイデン房子氏が登壇した講演会

【熊本】くまモン全国で大活躍 俊敏な動きで人気に

熊本市は2012年4月、全国で20番目の政令指定都市としてスタートしました。

新しく誕生した5つの区は地域の特性を生かしながら、住民と行政が協力して街づくりに取り組んでいます。

また、ゆるキャラ「くまモン」が全国で大活躍しています。体型と俊敏な動きのギャップが面白く受け取られているようです。熊本のキャラクターショップでももちろん人気ナンバーワンです。(熊本広告協会)

【大分】豊富な観光資源、全国に発信

大分県は今、「日本一のおんせん県おおいた 味力も満載」という、おおいた地域ブランド力アップ推進事業に取り組んでいます。

日本一の湧出量を誇る別府や湯布院に代表される温泉の数々、そして、関アジ、関サバ、城下カレイ、フグにカボスに椎茸、さらには、豊後牛、鳥のからあげにとり天など盛りだくさん。

大分県の有する観光資源を全国に発信し、ひとりでも多くの人に大分県の魅力を伝えるべく、我々大分広告協会も頑張っていきます!(大分広告協会)

【宮崎】地域資源を有効活用

宮崎県は5月で置県130年を迎えた。今年は温故知新、宮崎の将来を考えようと、さまざまな記念行事が展開され、これを契機にした新たな取り組みも始まった。

「みやざきフードビジネス振興構想」もその一つだ。県政の目玉として河野俊嗣知事が提唱し、地域資源を有効活用して食品関連産業生産額の大幅増を図る。農業産出額が全国5位(09年)の宮崎県だが、農産物を加工して商品化する食料品製造業出荷額はまだ31位にとどまっている。構想の推進には県内企業の理解と県民の機運醸成が不可欠。コミュニケーションのプロ集団として協会会員社の果たす役割は大きい。(宮崎広告協会)

【鹿児島】国際的な火山学会 鹿児島で開催

九州圏内のほか関西や中国地方からの観光客で賑わった新幹線効果もひと段落。今年は奄美群島日本復帰60周年。また来年1月は、桜島大正噴火100周年ということで国際的な火山学会が今年7月に開かれました。

何かと元気な鹿児島。鹿児島広告協会では4月の総会に合わせて特別講演を行いました。話題の九州新幹線テレビCMを制作した東畑幸多氏(電通)を講師にお迎えし、参加者は制作の裏話など興味深いお話しに聞き入り、盛況のもと終了しました。鹿児島の広告界をますます盛り上げていきます。(鹿児島広告協会)

【沖縄】広告賞と講演会で活性化

当協会は、地域社会に密着し、生活情報としての広告の啓蒙運動を目的に、沖縄県内で開催される唯一の総合的な広告賞「沖縄広告協会 広告賞」の実施や、会員社および一般に向けた講演会を開催しています。

主催講演会ではこれまで、「CIデザインと経営戦略-企業経営をデザイン思考する」(中西元男氏、2012年度)のほか、「震災地域のクリエイターが挑んだ復興ビジネス“三陸に仕事を!プロジェクト”」(鷹觜愛郎氏、11年度)、「オキナワの未来経営を考える」(勝間和代氏。10年度)などを開催しました。(沖縄広告協会)


全日本広告連盟
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