一目見たら欲しくなって買ってしまう人が続出の「キケンなハンコ屋」がSNSでシェアされる理由とは?

いきなりですが、お題です。

【問】あなたは、シャチハタに代表される「朱肉のいらない浸透印タイプ」の「認印」を扱う店長です。ただ売っているだけでは価格競争が厳しいので、「すでに認印は持ってるから、もう要らない」というお客さんに買ってもらえるようなアイデアを考えることにしました。さて、どうしましょう?

(考えタイム)

ちっ





ちっ





ちっ





ぼーん!

このお題には正解があるわけではありませんので、「回答例」としての実践事例をご紹介します。まずは前置きがありまして。

ある日、私がFacebookを眺めていたら、友達が「このお店を知って数日、日に日にココでハンコを買いたくなっている自分がいる……」という投稿をしていました。張られていたリンクをクリックしてみると、こんなページが出てきました。

しにものぐるい

「邪悪なハンコ屋 しにものぐるい」サイトトップ

店舗名が、なんと「邪悪なハンコ屋 しにものぐるい」。

ページ上部にはお店の紹介として、次のように書いてあります。

「邪悪なハンコ屋 しにものぐるい とは
オフィスや日常に遊び心と個性を加えたら? というわけで、邪悪なハンコを作ってみました。イラストや模様の入った印鑑は実印にはできませんが、認印には(ほぼ)問題ありません。乾いた都会の喧騒に、湿った日常に、イエスイエス!ディスイズ認印!」

ページをスクロールしていくと、こんなハンコが現れました。

「邪悪なハンコ屋 しにものぐるい」サンプル

 

謎のカテゴリー

しかも、ページ左側のカテゴリーを見ると、「うさぎ好き」「ネコ好き」「パンダ好き」というあたりはわかりますが、「キレる」とか「チラ見」というナゾのジャンルのが混じっています。

さらには、「捕食の風景」なるジャンルがあり、クリックしてみると、「動物が動物をつかまえて食べるシーン」のイラストが一つのジャンルとして成立するほど種類が揃っています。

「なんじゃこりゃー!」と思った私は、すかさずFacebookで「おもしろーい!」と書いてリンクをシェアしたところ、いつもの投稿よりもはるかに多くのコメントがつきました。その内容は、「なにこれ、欲しい!」「私も欲しい」「これはほしい」と続いたあとに「コレを買いました!」という報告が。そのあとも「ほしい」と「買いました!」のコメントが続々と寄せられました。

 

捕食

その数日後。いつものように何気なくFacebookを眺めていると、ある友達が「ハンコが届いた!」といって紙に「しにものぐるい」のハンコを押した写真をアップしていました。その日、ほかにも3人ほどが同じように「届いた!」とハンコ写真をアップしました。さらに、そんな日が数日続きました。
そして、ハンコ写真をアップした人の友達が、「なにこれ、ほしい!」というコメントをつけていく、というシェアの連鎖が見られたのでした。

この事例を通して、私が大切だと思うのは次の3つです。

≫次ページ その大切な3つとは何か?

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仲山 進也(楽天大学学長)
仲山 進也(楽天大学学長)

楽天株式会社 楽天大学学長
仲山考材株式会社 代表取締役 「次世代ECアイデアジャングル」主宰

北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、1999年に社員約20名の楽天株式会社へ移籍。楽天の初代ECコンサルタント9人の1人となる。2000年に「楽天大学」を設立、Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く、楽天市場出店者39,000社の成長パートナーとして活動中。楽天が20名から数千名の組織に成長するまでの経験をもとに人・チーム・企業の成長法則を体系化、社内外で「自走型人材」の成長を支援している。2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業フリー・勤怠フリーの正社員)となり、2008年には仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティ「次世代ECアイデアジャングル」を主宰している。

著書
『「ビジネス頭」の磨き方』(サンマーク出版)
『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則『ジャイアントキリング』の流儀」(講談社)

仲山 進也(楽天大学学長)

楽天株式会社 楽天大学学長
仲山考材株式会社 代表取締役 「次世代ECアイデアジャングル」主宰

北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、1999年に社員約20名の楽天株式会社へ移籍。楽天の初代ECコンサルタント9人の1人となる。2000年に「楽天大学」を設立、Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く、楽天市場出店者39,000社の成長パートナーとして活動中。楽天が20名から数千名の組織に成長するまでの経験をもとに人・チーム・企業の成長法則を体系化、社内外で「自走型人材」の成長を支援している。2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業フリー・勤怠フリーの正社員)となり、2008年には仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティ「次世代ECアイデアジャングル」を主宰している。

著書
『「ビジネス頭」の磨き方』(サンマーク出版)
『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則『ジャイアントキリング』の流儀」(講談社)

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