アメリカでは、ビッグデータを解析し、未知の知見や規則性を発掘するデータ分析を専門とする大学の専門コースが次々と発足している。ヴァージニア大学の「ビッグデータ・インスティテュート(Big Data Institute)」もその1つだ。
同研究所で学ぶ学生は、建築や医学、芸術といった、これまでコンピュータ・サイエンスとは関連なかった様々な分野の講義を受ける。幅広い分野の知識を学ぶことで、従来コンピュータには関心を持っていなかった建築や医学、エネルギーや芸術等、様々なセンスと能力を持った人材を養成することができると考えられる。
同研究所の副所長で医用生体工学のトム・サラク教授は、学部間の壁の厚い大規模な大学にはできない、様々な連携をはかっていくという。また、同研究所では、データ活用の倫理的な面でもアカデミアを主導していくことを目指すという。
ほかに、コロンビア大学でも「定量分析学(Quantitative Studies)」というビーグデータに関する新しい修士コースが開設されるほか、サンフランシスコ大学は独自の修士コースを計画中で、米IBMはオハイオ州にビッグデータの解析センターを開設予定。このほか、既にデータマイニングのプログラムを設けている大学には、スタンフォード大学、ノースカロライナ州立大学等がある。
米コンサルティング大手マッキンゼー・グローバル・インスティチュート(MGI)は、2011年に、「2020年までに米国で14~19万人のデータ・サイエンティストが不足する見込みである」との予測を発表している。
たとえば、クレジットカード会社が会員のソーシャルメディア上の人間関係から、どの程度のローン返済能力があるかなどを予測したり、ライフスタイルや食習慣、既往歴などから病気を予測したりするコンピュータ・エンジニアが必要となると考えられている。また、オンライン・ショッピングの購入歴から、お奨めの商品を紹介するといった企業のマーケティングや、国や州政府等の政策や予算に関わる調査など、様々な場面での活躍が見込まれている。