ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年8月号の記事を掲載します。
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
J-WAVE「雨の日、いいこと。Happy Rainy J-WAVE」
梅雨時というのは、毎日、雨が降り、空気もジメジメして本当に嫌なものだ。夏の到来が待ち遠しく感じてしまう(とはいうものの、夏も猛暑日ばかりでウンザリなのだが)。
関東のFM ラジオ局「J-WAVE」では、開局25周年を記念して6月10日から7月15日まで放送とソーシャルメディアを連動したキャンペーン「雨の日、いいこと。Happy Rainy J-WAVE」を実施した。
キャンペーンでは、期間中、日の出から日没までの生放送番組の放送中に、J-WAVEがある六本木ヒルズのスタジオから見て、雨が降り出したタイミングで「雨の日、いいこと。Happy RainyJ-WAVE」のオリジナルジングルが流れる。
このジングルを皮切りにJ-WAVEのPCやスマホのホームページにある特設サイト内で、さまざまな施設やショップなどで当日限定のお得なサービスが受けられるクーポンが発行されるという仕組みだ。
雨の日となると、どうしても客足が落ちたりするショップやレストランも多いなか、雨の日にキャンペーンを展開することで、客足の減少を少しでも食い止め、リスナーも店舗側もハッピーになるという狙いだ。
キャンペーンに参加したい店舗は、ウェブから自ら申請することも可能だ。営業時間中にJ-WAVEをBGM代わりに流している店舗も多いなか、単にリスナーだけでなく、店舗側にも参加してもらうという、ラジオらしい双方向の形ができている。
通常、この手のキャンペーンサイトは、どんなにお得な特典を用意しても、ユーザーに「存在に気付いてもらう」のがとてもハードルが高かったりする。特定の場所でキャンペーンを展開しても、その告知のポスターや看板を見て、スマホのブラウザを立ち上げてもらうところから始まるわけで、ユーザーがなかなかキャンペーンにリーチしないのだ。
その点、このキャンペーンは、ラジオという放送メディアと連携し、パーソナリティが積極的にアピールし、ジングルを流すことで、ユーザーが「サイトを見てみよう」という気になる。
ここ最近は、スマホ向けのラジオ聴取アプリである「radiko.jp」で、AMやFMのラジオ番組を楽しんでいる人も増えてきた。スマホでラジオを聞きながら、ブラウザを立ち上げてキャンペーン情報を取得するという自然な流れができつつあるのだ。
ただ、今年は「空梅雨」でJ-WAVEを聞いていても、なかなか雨が降ってこないため、キャンペーンの出番が少なくなっているというのが残念でならない。
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