社会のためになる消費(1) エシカル消費はもうすぐ当たり前になる

エシカル消費の特徴

エシカル消費は、従来のエコやフェアトレードとどこが違うと思われるかもしれない。しかし70年代以降出てきた従来のエコやフェアトレード商品の場合だと価格やデザインは犠牲あるいは後回しであった。当時エコ商品を推進する側は「ビジネス」というより「活動」ととられていたので、「環境保全や人権という正しいことなのだから、ファッション性、デザイン性は必要ないだろう」という発想が根底にあったとためと思われる。筆者自身学生時代から自然食や石鹸洗剤、マイ箸など「エコ」派と自負しているが、それでも「この値段で、このデザインはちょっと…」と思うような商品が多かった。

しかし、それでは「環境」や「人権」を最優先する消費者にしか訴求しない。それがエコやフェアトレードは、聞こえは良いが売れない、という定説を作ってきたのだろう。しかし、近年注目されてきたエシカル消費は、ファッションショーと結び付いたように、エコや倫理・社会性とデザイン性やファンション性を同時に実現した製品が多い。今巷で話題になるエシカル商品としては、環境に配慮した素材―たとえば間伐材・オーガニックコットン・有機食材・地産地消型の素材などーを使った家具・衣料・雑貨・加工食品や、フェアトレードのバッグ・雑貨・衣料、鉱山の採掘現場での児童労働や環境汚染に配慮した貴金属を使ったエシカルジュエリーなどがある。

これらのエシカル製品の生産者は、過去のエコ製品やフェアトレード商品の失敗を勉強しており、エコや社会貢献だけでは実際の購入には結びつかないことを理解している。また、自分自身のライフスタイルの美学も大事にする人たちが多いので、製品の基本機能の充実とデザイン性ファッション性へのこだわりが大きい。消費者が店頭で「オシャレ」「かわいい」と思って手に取ったら、その背景には想像しなかったエコや人権への配慮の素敵なストーリーがあった、という意外感とお得感が最近のエシカル商品の特徴でもある。

社会のためになる消費(2) エシカル消費はもうすぐ当たり前になるに続く。

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