橋本 卓郎(電通 コピーライター/CMプランナー)
はじめまして。電通でコピーライター/CMプランナーをしております、橋本卓郎と申します。オードリー若林と柴犬に似ています。
さっそくですが、タイトルのつづきを。その言葉は、「ありがとう」です。
もう10年以上前、大学でラクロスというスポーツの部活に熱中していました。目標は、日本一。僕たちは、グラウンドでの練習はもちろん、それ以外の時間も何かできないかと、メンタルトレーニングを取り入れていました。そして、スポーツドクターのところに通いながら学んだことのひとつが、「感謝することが勝利につながる」ということでした。
ミラーイメージの法則というのが心理学にはあるそうです。相手のセルフイメージ(=自分自身に対するイメージ、自信の大きさ)を大きくすることは、そのまま鏡のように自分に跳ね返ってきて、自分のセルフイメージも大きくするという法則。だからチーム内で「ありがとう」を言い合おう、「ありがとう」は、発した相手にも、発する自分にもパワーをくれる、強力な言葉なんだ、と教わりました。
僕たちは、試合中や練習中に、どんどん「ありがとう」を言うようにしました。実際、ミスが続いて縮こまってプレーしている自分に、小さな良いプレーを見つけてチームメイトが言ってくれる「ありがとう」の言葉には、幾度となく救われました。また、自分が「ありがとう」を言うことで、不思議と気持ちが相手とつながる感じというか、じんわり力が湧いてくる気がしたのです。
いつの間にか僕にとって、「ありがとう」は言葉オブ言葉、最強の言葉になっていました。
そして、それがどれくらい貢献したかはわかりませんが、僕たちはついに4年生のときに大学日本一になったんです。
社会人になった今も、言えるときは必ず「ありがとうございます」を言おうと心がけています。その人のために、自分のために。実は「ありがとう」を言うチャンスって、けっこうあるものです。
肌を真っ黒にして走っていたとき、まさか自分がクリエーティブの世界で、言葉を書くことで生きていくことになるとは、夢にも思っていませんでした。でも今思うに、僕はあの4年間で、言葉の力をたしかに感じていたのだと思います。
みなさんにとって、言葉の力を感じた体験って、どんなことでしょうか。
これからコピーライターになる方も、すでにこの世界で活躍されている方も、そのどちらでもない方も、ちょっと考えてみるのは悪くないことだと思います。その体験を反すうしてみることは必ず、これからの人生を良くしてくれると思うからです。
なんだかけっこう長くなってしまいました…。仕事のこと全然書いてない…。
次はもう少し仕事の話を書こうと思います。
ここまで読んでくださったあなたへ。
本当にありがとうございます。
橋本 卓郎(はしもと・たくろう)
電通 第2CRプランニング局 コピーライター/CMプランナー。
2006年宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース修了。
四谷学院「四谷のこだわり」シリーズ広告、明治オリンピック協賛CM「レスリング男の子」「バレーボール女の子」、旭化成「サランラップ」「Ziploc」「クックパー」、本田技研工業「FIT SHUTTLE」、大成建設、出光興産、大塚製薬「UL・OS」などを担当。
TCC新人賞、Adfest、OneShow、読売広告賞、日経広告賞、消費者のためになった広告コンクールなど
【「コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー】
- 異業種からコピーライターに転職した話【新人篇】(7/1)
- 異業種からコピーライターに転職した話【フリーター篇】(6/24)
- 異業種からコピーライターに転職した話【会社員篇】(6/17)
- 異業種からコピーライターに転職した話【学生篇】(6/10)
- 2013年5月 古屋彰一「地方での広告づくり」
- 2013年4月 日野原良行「打席はそこらじゅうにある」
- 2013年3月 竹田芳幸「ありがとう。大石さんと石田さん(コピーライターになる編)」
- 2013年1月 平野慎也「25歳、新人コピーライターのリアル。」
- 2012年12月 室山加奈子「Webディレクター、コピーを学ぶ」
- 2012年11月 小野勇樹「いちデザイナーが感じる、言葉の大切さ。」
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
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